増税前に、歳出を「供給者支援から需要創造へ」「コンクリート(箱物)から人へ」シフトして削減!

 増税前に、やるべき事=財源捻出方法は、いくらでもある
思いつくまま以下に列記する。

1. 歳出を「供給者支援から需要創造へ」「コンクリート(箱物)から人へ」シフトして削減!
2. 政治機能を被災地(福島)へ移転。 政治家は復興を「自分ごと」として取り組む
3. 2と並行して、永田町・霞ヶ関界隈の資産や公務員宿舎など資産売却!
4. 国会議員数を722人から100人程に削減。 落選議員は被災地で汗を流そう!


 上記は全て、久繁哲之介オリジナルの提案ではない。ここ数年の間に
国会議員が(国会やメディアで)言及したものだ。

 特に、2=「首都機能移転(経済機能は東京に残し、政治機能を栃木~福島か中部地方へ)」は
1999年から国会で議論され、移転先の福島県は以下構想を掲げている。
 http://www.pref.fukushima.jp/syuto/gaiyou.htm

 政治機能の福島移転は、日本の二大問題(被災地復興と、電力などエネルギー問題)に
かなり有効だと思う。なぜなら、首都圏の電力を、政治関連分だけ産業界に回せるし、
人は「自分ごと」だと、細部に気がつけて真剣に行動するから。


 1~4のうち、1は全国への波及効果を期待できるので
歳出を「供給者支援から需要創造へ」「コンクリート(箱物)から人へ」シフトして削減!
を、掘り下げて(分解して)考えてみたい。

①「供給者支援から需要創造へ」:2009年12月に民主党が設置した「成長戦略策定会議」で
 竹中平蔵氏が「経済成長を決めるのは供給側」と主張した。これに民主党は菅直人氏が
 「今の不況は需要不足だ」と反撃して「供給者支援から需要創造へ」シフト必要性を強調した。
②「コンクリート(箱物)から人へ」:民主党が政権を取った2009年選挙マニフェスト基本理念
③「無駄な歳出を徹底的に削減する」:民主党が政権を取った2009年選挙マニフェスト

 民主党の「主張やマニフェスト」は、それぞれ単独で見れば、実に魅力的に見える。
だから民主党は「政権を取れた=国民から支持された」のだが、①~③には問題が二点ある。
 
それぞれの主張が、その場しのぎで、全く結びついていない
それぞれの主張は、空手形で、ほとんど実行されていない

 ①~③を連携して実行すれば、すなわち
歳出を「供給者支援から需要創造へ」「コンクリート(箱物)から人へ」シフトして削減
すれば、増税せずに「地域再生、ひいては日本再生」は可能だと私は考える。

 以下にそのケーススタディを示すが、事例は読者が理解し易いよう
前回記事の「シャープ亀山工場」の話から始めよう。


 日本の地方都市は、「供給施設」「箱物」である工場を競って誘致してきた。
工場を誘致できれば「納入業者など関連産業への波及効果、雇用者増」が期待でき、
「地域経済循環率」を飛躍的に高めて、地域が再生すると信じられていたから。

 この神話は21世紀に入り、完全に崩壊した。
神話崩壊の象徴が、三重県に2004~2006年にかけて建設されたシャープ亀山工場だ。
 地元行政は以下2点の地域再生効果を期待して、シャープに135億円の補助金
(三重県90億円、亀山市45億円)を投じた。

①納入業者など関連産業への波及効果
②雇用者増 


①「納入業者など関連産業への波及効果」は、低い(と以下レポートが発表)。
  http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/report/report10-1013.pdf

 同レポートは「地元の既存企業と、シャープ亀山工場(の液晶事業)との関連性が低い」ことを
最大の問題として指摘している。つまり、自治体は135億円もの補助金を出すにも関わらず、
液晶事業と地元企業事業のいずれか、あるいは両方の分析が御粗末だったわけだ。

 解り易く解説しよう。これは、地方都市が補助金を投じて開発した商業施設に
「ファスト・フード飲食店」を誘致する構図と同じである。すなわち、誘致した
ファスト・フード飲食店(シャープ亀山工場)は、売上高(生産高)は非常に高いが、
地元生産者から食材(部品)を調達する比率(地域経済循環率)は非常に低い。

 そして、②考察で解るように、大資本の「ファスト・フード飲食店、工場」の雇用は
短期かつ低賃金の非正規が多く、地域経済循環率は残念ながら非常に低い。


②「雇用創出効果」は、三重県試算では第一工場だけで12000人を見込んだが、
 第二工場が完成した2007年の県内雇用者は第二工場を合わせても約7000人にすぎない。
 しかも、この数字には外国人雇用者や非正規雇用者が多く含まれる。

 事前試算と現実雇用数の差額は、誘致する自治体が
「地元の既存企業と、シャープ亀山工場(の液晶事業)との関連性」を
分析できなかった事と、シャープが地域外から安い労働力を調達した事に起因する。

 外国人居住者が急増した亀山市は、彼らへの対応など
予期しなかった対策を迫られることになる。
 亀山市が最も悩む問題は、亀山工場の雇用者が更に減少している事だ。
その理由は実にシニカルで示唆に富む。

 大阪府堺市がシャープへ、補助金244億円と税減免240億円を提示して
シャープ工場を誘致した。 2009年にシャープ堺工場が稼働し始めた結果、
亀山工場は主力部門が堺市へ移転して、工場稼働率=雇用者数が減少した。

 結果を見れば、大阪府堺市は補助金244億円+税減免240億円を投下して、
僅か5年前に三重県亀山市が135億円の補助金を使って建設した
「供給施設、それに付随する雇用」の一部を奪った
わけだ。

 この悲劇の発端は、堺市も亀山市も「供給施設」「箱物」である工場が生む魅力に
目を奪われ、「シャープ商品の需要」「地元の労働者・納入業者への需要」と
「地域間での誘致競争」問題を配慮できなかったことにある。

 需要が伸びない現在、「地域間での誘致競争」は深刻かつ厄介な問題だ。誘致すると
他地域(亀山市)の「施設撤退」をもたらすが、誘致者(堺市)にその自覚は殆どない。
 堺市にしても、一見「誘致競争の勝者」に見えるが、地元の市民団体は
「補助金244億円+税減免240億円」の投資対効果を問題視している(以下に参考記事)。
  http://www.jcp-osaka.jp/2009/05/244240.html

 以上に述べた「供給過剰」な状況で更なる「供給施設の誘致競争」は、
工場のみならず「商業施設の誘致、オフィスビルの建設」にも見られる

 
 商業施設もオフィスビルも工場と同じく、明らかに「供給過剰」だ。しかし、
コンパクトシティ等を名目に、都市部の駅周辺では大型開発が推進されている。
 
「供給過剰」下で、駅周辺に超大型の「商業施設、オフィスビル」が、建設されると、
条件の良くない(駅から遠い、古い、小さい)施設は利用者から見放される。
「条件の良くないオフィスビル」の空室率は、都市部でさえ20%を軽く超えているし、
「条件の良くない商業施設」は、撤退せざるをえない。

『地域再生の罠』で指摘したように、商業施設の「供給過剰」は非常に深刻だ。
にも関わらず、多くの地方都市が高額補助金を投入して大型商業施設を建設するが
「開業当初から空き店舗だらけ」という施設も散見される。

 
 民主党さん、以上のような「供給者支援」「コンクリート(箱物)」への
無駄な歳出(補助金)を削除すれば、増税は不要ですよね?
 そして、削除した歳出を「需要創造」「人」への投資にシフトすれば
「地域再生、ひいては日本再生」は可能ですよね?

 だって、民主党さんは「マニフェスト」や「成長戦略策定会議」で
それを約束して政権とったんだから。


若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

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『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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