脱「無縁社会」へ商店主の取組:第4話『北海道浦河町の小山さん』

 脱「無縁社会」へ商店主の取組 第4話は
北海道浦河町にて燃料販売店を営む小山直さん・祥子さん御夫妻です。

 浦河町は北海道の南東部海外部にある人口約1.4万人小さな町で
東北関東大地震の津波被災地の一つです。

 小山さんの御店「マルセイ協同燃料」は海岸に近く、被害を受けた様です。
本日は被災地と被災者を応援する気持ちを込めて、小山さんの心温まる取組を紹介します。


 小山さん御夫妻は、私が昨年12月に恵庭市で講演した折、浦河町から
片道2時間半かけて参加してくれました。この時の出会いを機に、
「マルセイ協同燃料」が毎月刊行するニューズレター「マルセイニュース」を
ご送付頂き、私は毎月たのしく拝読するようになりました。

 多忙な私は、送付されるニューズレターやDM(ダイレクト・メール)の99%は
読まずにゴミ箱直行なのですが、遠い浦河町の小さな燃料店が刊行するニューズレター
「マルセイニュース」は毎月必ず読むのは何故でしょう?

 その理由は「楽しいから読む」に加えて、「これぞニューズレターの見本」と
唸らせる”仕組み”にあります。

 この仕組みは、当連載の主旨「無縁社会を解消する”市民が繋がる”」が根底にあり、
「人(顧客)との繋がり」は、新たなビジネスを創出できたほど秀逸なものです。

 小山さんの例のように、ニューズレターはビジネスを成長させる可能性を秘めています。
そこに目を付けた経営コンサル等は、零細な小売業から経営相談を受けると
「ニューズレターを刊行しなさい」と真っ先に提案することが少なくない。
事実、ニューズレター刊行ノウハウを伝授する書籍・セミナーは人気が高い。
 特に、私が師と仰ぐ「神田昌典さん」「小阪裕司さん」の御著書には
ニューズレターの効用・ノウハウが非常に解りやすく説明された良著が多い。

 かくして、零細な小売業の多くがニューズレター刊行に挑むのだが、その殆どは
「作業に金と時間がかかる割に売上が上がらない。配布しても読んでもらえない」
壁にぶちあたり、ニューズレター刊行を途中で止めてしまうのが実情です。
 
 これを消費者(読者)志向で考えてみましょう。 読者の皆さんも私と同じように
送付されたニューズレターやDMの99%は、読まずにゴミ箱直行ではないですか?

 注目すべきは、ゴミ箱直行のニューズレター・広報誌・DMの過半は
広報の専門家が、時間と金をふんだんに使い作成していることです。
 ニューズレターも地域再生計画も、「専門家が机上で作成したものは
端から読まれない。読んでも全く共感されない」
点で共通しています。

 そこで、店舗経営者と地域再生担当者は是非「マルセイニュース」を参考に
「読んでもらえて&共感されてビジネスに繋がるニューズレターの秘密」を掴んで下さい。
 
 マルセイニュースの一部、作成の舞台裏、読者との繋がり等は以下↓
「マルセイブログ」で閲覧できます。   http://marusei-gs.jugem.jp/?eid=315

 てっとり早く「答え」だけが欲しい地域再生担当者の為に
「読んでもらえて&共感されてビジネスに繋がるニューズレターの秘密」
の一部を以下に解説します。


秘密1.儲けたい「提供者の下心」を、顧客(読者)に感じさせない 
 
 商いや恋愛に下心はあって然るべきですが、儲けたい(やりたい)下心を
露わに出せば、顧客(異性)は必ず逃げます。

 顧客(異性)と関係を創る初期段階(初期デート)で、皆さんはどのような
「戦略(デートコース)」を計画しますか?

 マルセイニュース第1面は「地域の美しいが、埋もれる光景」を写真で魅せます。
写真1と2を見た町民は、我が地域に誇りと愛着をもち、その素敵な想いを
マルセイと町民が、そして町民同志が共有して「繋がる」のです。
 
 カップルが初期デートで「海を見に行き」美しい光景を二人で共有するのと同じです。
ここから第2の秘密を導ける。

秘密2.美しい経験・物語を、顧客(読者)と共有・共感する

 ここで舞台裏を吐露します。小山さんが光景写真を第一面に掲載し始めた理由は
「外出が困難な高齢者など町民が少なからず存在」することを知り、彼らに光景を
見せてあげたいという「純粋な優しい気持ち」にあります。
 秘密2の効果を小山さんが実感したのは、始めてから数年後のことだそうです。
ここから第3の秘密を導ける。

秘密3.見返りを求めない「Giveの心」が、顧客(読者)の心を掴む

 マルセイに親近感を抱き始めた顧客(読者)は、近所の町民に
クチコミで「あなたもマルセイの顧客(読者)になると良い」等と言ってくれて
顧客(読者)が増える


 更に、マルセイに親近感を抱く顧客(および読者)とマルセイは、商取引の折に
「商いを超越した仲間としての会話・交流」が芽生える。例えば、
「結露に困ってる。高齢者一人で家掃除は困難」という何気ない会話からマルセイは
新たなビジネス「ハウスクリーニング」を創出する。
 ここから第4の秘密を導ける。
 
秘密4.ビジネスチャンスは「顧客との自然な交流」から生まれる

 マルセイは新規事業「ハウスクリーニング」にも、ニューズレターの仕組みである
「市民との繋がり、顧客へ楽しさをGive」を模索する。マルセイ社員5人が昔の
人気TV番組「秘密戦隊ゴレンジャー」を彷彿させる姿で顧客宅へ伺うことにした(写真3)。

 この取組で、町内の子供達は「ゴレンジャーに会いたい」と言い
マルセイへ訪れるようになり、マルセイは町内の老若男女から広く愛されています。
(マルセイブログ関連記事 http://marusei-gs.jugem.jp/?eid=317

 地域活性化もビジネスも、一人では外出も消費も困難な「子供と高齢者」は
対象から外しがちですが、「子供と高齢者に配慮するマルセイ」は、町内の人気ものです。
 ここから第5の秘密を導ける。

秘密5.子供と高齢者の心を掴む御店・地域は愛される

 
 読者の皆さん、北海道へツーリング等で出かける折、浦河町へ立ち寄り
美しい夕日と、心豊かな町民との交流を堪能しましょう!
 

写真1 浦河町の夕日は「夕日で町おこし」で有名な愛媛県双海町と遜色ない美しさ
浦河の夕日1

写真2 夕日がしずみ海と雲の色艶が変わり、違う顔を魅せる浦河町
浦河の夕日2

写真3 浦河町のゴレンジャーこと「マルセイクリーン部隊」
   写真中央(水色)が小山直さん、左から二人目(緑色)が小山祥子さん
浦河ゴレンジャー


地域再生プランナー 久繁哲之介
地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?
(2010/07/07)
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久繁哲之介の見識が当ブログ、
以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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