車優先で衰退する商店街を再生する為「大分県日田市長へ意見書」提出

 大分県日田市に「レトロな建造物・雰囲気」を売りに造られた観光地
「豆田」地域があります。豆田には「下町通り(別名:みゆき通り)」と「上町通り」
という2つの商店街が30m程の近さで南北に並行しています。
 先月、豆田の2つの商店街を散策して私が感じたことを紹介します。

① 土建屋の金と思惑が投下されて「造られた観光地」という印象。
② 歩道を確保しない「車優先」空間の為、歩くのは非常に危険で不愉快。
③ ①②の結果、土建工事に大金を投じた観光地・商店街に、客が来ない。


 豆田が「レトロな建造物・雰囲気」を売りに「観光地(商店街)造り」を
すすめた歴史と、そこに投下された土建工事を振り返ろう。

2004年 重要伝統的建造物郡保存地区(以下「伝統建物地区」と略す)に選定
2009年 上町通りの無電柱化(みゆき通りは2000年に無電柱化)事業が完了

 「テンプレート(モデル事業)と、ベストプラクティス(成功事例)」を探してきて、
自地域に、そのまま流用・猿真似する弊害を以下エントリで紹介したが、豆田も然りでした。
  
  http://hisa21k.blog2.fc2.com/blog-entry-73.html

 豆田を歩くと、大金を投じて造られた「器・箱物(建造物・道路)」は確かに立派に見える。
しかし、「人の心・営み」が情けなくなるほど蔑ろにされている
と痛切に感じる。
 拙著『地域再生の罠』第2章の以下項目で、この詳細を説明しています。

「箱物だけレトロ化しても商店は利用されない」 59頁~
「車優先空間が空き店舗をさらに増やす」    61頁~

 
 豆田で商売を営む人や歩く人の「心・営み」がどれほど蔑ろにされているか。
写真1は、車にクラクションを鳴らされて、塀ぎりぎりまで非難して歩かされる市民の光景です。
写真2は、レトロが売りの観光地に目立つのは「車、自販機」というシニカルな光景です。

 市民を気の毒に感じた私自身も、レトロ気分を体験しようと期待を込めて歩く途中、何度も
車から「塀ぎりぎりを歩け」と言わんばかりのクラクションを鳴らされ、実に不愉快でした。
 
 不愉快の対象は、運転手ではなく、車優先空間を造り・放置する行政です。
写真1・2で解るように、歩道は確保されていないし、車道と区別する線引さえ
していない。この結果、2つの商店街は車が猛スピードで走り抜けできる「車の抜け道」
として利用される「車優先の空間」となり果て、歩行者は危険で不快な思いをしています。
 
 危険で不快な商店街を歩く私に、また胸が痛くなる出来事が何度も生じます。
複数の商店主達が私に「車に気をつけて。休んでいきますか」等と
きさくに挨拶・声をかけてくれるのです。

 行政がテンプレートを流用しただけで仕事した気になり、車優先を放置する結果、
歩行者は不愉快で客が減ってしまい、商店主こそ一番の被害者です。しかし
豆田の商店主達は「観光客が来なくなっていく悪い環境下であっても、
シャッターを閉めず真面目に営業していて、客や歩行者に気遣い」ができる。

 豆田を歩く人・商売を営む人の現状を私は、なんとか改善したい。
そこで、現状と以下提案をブログに綴った後、同内容の意見書を
日田市長宛へ提出します。

 
 電線地中化やレトロ建築など土建工事で造られた空間が、車優先に使われて、
歩行者は不快で寄りつかず、商店街は閑散とする現状は上記で説明した通りです。

”器・箱物だけ立派で危険かつ不愉快な観光地には、もう二度と来ないぞ”と感じた
観光者の「マイナス(不快)なクチコミ」は、プラスのクチコミより早く強烈に伝播します。
 観光客も地元客も疎らな豆田は、現状を認識して解決に着手しないと
マイナスなクチコミが伝播して、更に閑散化(衰退)することを懸念します。
 そこで私は以下を提案します。

 下町通り(別名:みゆき通り)と上町通りは、南北を30mの近さで並行して通る。
この立地と交通量から「相互の一方通行」にしても全く支障は無い。むしろ
歩道幅を確保して観光客を誘致する戦術として「一方通行にする、あるいは時間をきめて
車両進入禁止」にするトランジットモール化は「まちづくり先進国(注)」の常識です。

「レトロを売り」にする観光地・商店街なのだから、日中だけは車両進入禁止にした
「レトロな雰囲気を醸成する戦略」は検討されて然るべきでしょう。
 車優先で閑散とした両商店街を、まずは「車両一方通行」の「人優先空間」に変えて、
人がゆったりと歩けて交流できる観光地・商店街に再生しましょう。

(注:出典『地域再生の罠』202~204頁) まちづくり先進国とは  
  「市民の心、ライフスタイルが先に尊重」されて、それに合う「器・制度が後から」
  創られる西欧諸国を言う。一方、「先に西欧などで成功した器・制度を
  技術的・表面的に見た土建学者」が、そのまま流用・猿真似して
  「市民が後から合わせることを強要される」日本は「まちづくり後進国」です。

 以下写真から、日本は「まちづくり後進国」である事実が垣間見えます。すなわち、
伝統建物地区などテンプレートに選定(認定)されると補助金がバンバン付いて、
電線地中化やレトロ建築など土建工事が推進されて表面的には立派な箱物が造られるが
市民の心・ライフスタイルは蔑ろされていて、市民は全く豊かになれていない。



写真1 車にクラクションを鳴らされて、塀ぎりぎりまで非難する歩行者
日田は車優先

写真2 これが伝統建物地区? 車と自販機が目立つレトロ観光地に、観光者の姿は無い
日田は危険



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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