公務員と議員が読むべき本 第3回 後藤哲也さん『黒川温泉観光経営講座』書評

黒川温泉 観光経営講座 (光文社新書)黒川温泉 観光経営講座 (光文社新書)
(2005/02/16)
後藤 哲也松田 忠徳

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 かつてデイズニーランドの幹部研修に、黒川温泉の後藤哲也さんの宿へ行き、
顧客がなぜ、どのように癒されているかを感じとるものがあった。

 後藤哲也さんは露天風呂作りの達人です。彼は自分の宿だけ素晴らしい露天風呂を武器に
集客しようとはしなかった。黒川温泉の全ての宿に、露天風呂を作る支援をした。

 つまり、私益を求めず、公益(地域全体の利益)を重視した結果、
黒川温泉は全国有数の温泉地になったのです。

入湯手形の本質は「地域全体の利益と発展」

 黒川温泉が1986年に導入した入湯手形の本質も「公益(地域全体の利益)」を重視してのこと。
黒川温泉の全宿に素晴らしい露天風呂を作ろうとしたが、立地の制約から
宿ごとに露天風呂の質は異なるし、露天風呂を作れない宿もあった。
入湯手形は全ての宿に宿泊客が来るように考えた結果の施策です。

 入湯手形は今では全国の温泉地が模倣するビジネスモデルになった。
だが、その本質を理解しない上辺な模倣が目立つ。
「地域全体の利益と発展」の仕組みは次の通りです。

1200円で入湯手形を買うと、三軒の旅館の風呂に入れる。
手形の有効期限は6カ月、期間内に15軒利用すると、宿泊補助券など賞品を出すことでリピートを促す。

 本書では、入湯手形を導入した本質(経緯)を次のように語る。

14頁:当時はまだ、露天風呂のない宿がいくらかあったからです。

15頁:入湯手形を実施してみると、お客さんが泊まった宿だけでなく、
  よその風呂にも行くようになるわけですな。そうなると比較されるわけです。
  風呂だけでなく、フロントや廊下や接客態度も見られる。あっちの風呂が
  よかったとか、こっちの接客がよかったということになる。だから結果的に、
  お互いが切磋琢磨することになります。

203頁:つまり県の考え方、自治体の考え方は、まったくお客さんという存在を
  考えとらんということ。(中略)「隣の町で造ったから、うちも造らにゃ」という動機で始めて、
  経営不振になるといつの間にか福祉施設にすり替える。自治体で温泉を経営して、
  それがお客さんに受けるはずがなかです。それはそもそもの考え方が、
  ただ風呂さえ造ればいい、  景色のいいところに造ればいい、
  そんな考え方でしかなくて、温泉の在り方など奥深く考えとらんからです。



 後藤哲也さんは、全国の温泉地から呼ばれ、講演と露天風呂作り指導に奔走する。
後藤さんがそこで一番感じるのは「自治体のダメさ・やる気のなさ」です。

 自治体のダメさ・やる気のなさは、古くから至るところで語られてきたテーマです。
自治体改革を論じる本も多く出版されていますが、地方自治は未だに変わっていません。
 
 なぜでしょうか?
拙著『地域再生の罠』は、それを解き明かし、地域再生の途を示しています。


 
     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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