シャッター百貨店の対策は急務~百貨店の閉鎖は2年で20店

 3日前、有楽町西武が閉鎖しましたね。
これで、2010年の百貨店閉鎖数は11店舗です。
 昨年は9店舗閉鎖なので、百貨店は2年間で20店舗が閉鎖しています。

 閉鎖後の跡地利用は、大都市の場合は比較的はやく決まりますが、地方中小都市では
閉鎖された百貨店がシャッターを下ろして何年も廃墟ビルのまま放置される
「シャッター百貨店」が増えていて、それが深刻な問題
となっています。

 だから私は『地域再生の罠』で、第1章「大型商業施設への依存が地方を衰退させる」33頁にて
”中小規模の地方都市街中から、百貨店など物販主体の大型商業施設はほとんど
なくなると私は予測する”と警鐘を鳴らし、第7章以降で解決策を提示しているのです。

 本日は、「シャッター百貨店」問題が全国で一番深刻な都市にも関わらず、
専門家の悪質なプロパガンダにより「まちづくりの先進地」等と喧伝(誤解)されている
富山市
の最新情報を紹介して、私が示す解決策の必要性を再確認していきましょう。


 本年11月24日(水)、講演で富山を訪問した折、12時~13時の
ランチタイムで街が賑わうはずの時間帯に撮影した写真を御覧ください。

 写真1は、2006年3月に閉鎖した百貨店「富山西武」の現状です。
なんと閉鎖から4年8カ月経過した今も廃墟ビルとして放置されています。
 4年8カ月も下ろされたままのシャッターには、幾つもの「落書き」があり
不動産所有者も地元行政も、落書きも放置したままなのです。

 落書きは「若者など市民による社会への反発・抗議」との指摘がある。
ニューヨークの荒廃と再生は、落書きと強い相関関係が見られた。すなわち、
まちの落書きを放置した70年代以降、市民の心は更に荒んで、犯罪が増え続けた。一方
落書きを消すことをニューヨーク再生の柱と考えたジュリアーニ市長就任の94年以降、
ニューヨークの犯罪は激減した。
例えば、年間殺人事件数は90年の2245件から98年には633件に減少した。

 富山での講演で私は、以上の話を紹介して
「富山の再生に最も必要な都市政策は、コンパクトシティの表面的な模倣ではなく、
落書き等に見られる市民の本質的な感情やライフスタイルを重視する姿勢・施策です。
その第一歩として先ず、落書きを消そう。落書き一掃活動を含め、
土地所有者の私益追求が許されない”公益と交流を育む街づくり”をしよう!」

 と呼びかけて、その戦略(本稿一番下)を提示しました。

 富山の落書きも市民の「土地所有者と行政への反発・抗議」だと思うのです。すなわち、
土地所有者が5年近くも街中一等地を廃墟ビルのまま放置する私益への反発と、
富山市が5年以上前からコンパクトシティを標榜しているにも関わらず、この状況を
見て見ぬふりの偽善的で表面的な都市政策への抗議です。

 写真1 「富山西武」は閉鎖後5年近くも廃墟ビルのまま
toyamaseibu.jpg

 写真2は、富山西武から約50m南下した交差点で、左側の廃墟ビルは
2007年9月に移転のため閉鎖した地場の百貨店「富山大和」です。
こちらも閉鎖から3年2ヵ月経過した今も廃墟ビルとして放置されています。


写真2 「富山大和」も閉鎖後3年以上廃墟ビルのまま
toyamadaiwa.jpg

 写真1と2の界隈は、富山県随一の繁華街「総曲輪(そうがわ)」地区で
かつて富山で最も賑わう地域だったが、今は、まるで
「金をかけずに造られた映画ロケのセット」のように、人の営み・気配が感じられない。

 写真3は、総曲輪地区の商店街です。
そうがわ1


 まちづくりの専門出版社・専門家が、これほど衰退している富山市の街中を
「コンパクトシティで再生された」等と悪質なプロパガンダを垂れ流すデタラメは勿論
大問題ですが、デタラメな情報は街づくりの担い手(市民)が無視すれば済む話。
重要なのは「これほど衰退した富山の街中を再生するには、どうすべきか」です。
 以上の詳細は『地域再生の罠』を御覧頂くとして、論点を簡単に整理しましょう。

 最大の論点は「街中の一等地=公益空間の不動産」を、節税など私益の為に放置させず、
「公益目的=人が繋がる場」に転用して、市民を集め、関連消費を誘発する戦略をもつことです。
 その具体的な戦術(施策)の一例を以下に箇条書きします。

1)街中の一等地=公益空間の不動産税率の基準は「公益性」で決める。
2)シャッター商店(特にシャッター百貨店)には、最高税率を適用する。
3)落書きの放置にペナルティを課すと同時に、誰でも消せる施策(条例など)を導入する。
4)「戦略的赤字施設」には、最低税率を適用し、更に地域独自の支援策を付与する。

注)戦略的赤字施設については、以下を参照してください。
 交流と賑わいを育む”戦略的赤字施設”鹿児島市「マルヤガーデンズ」




     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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『地域再生の罠』ちくま新書
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『商店街再生の罠』ちくま新書

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