ふるさと納税とネーミングライツは、資金調達額より経費が多い赤字という欠陥

役所は赤字でも行うべき事業はあるが、資金調達が赤字は駄目

 自治体には、子育て支援など「赤字でも実践すべき、事業はある」が
資金調達が経費より多い、赤字は絶対にありえない。 しかし、

 自治体が行う「ふるさと納税、ネーミングライツ」という資金調達は、
資金調達額より経費が多い赤字という、ありえない欠陥がある。

 投資対効果(経費と資金調達額の比率)を意識しましょう。
そもそも、事業と資金調達は区別しましょう。 という話をします。



自治体のネーミングライツ資金調達額は、経費の 1/10以下

 ネーミングライツ資金調達額(以下、全て年額)の相場は
プロスポーツ施設は数億円。 例:千葉マリンスタジアムは10年x3.1億円

 一方、自治体が公共施設で行うネーミングライツ資金調達額は、表1のように
スポーツ施設で、2~3百万円。 スポーツ施設以外なら、50万円位。

 自治体のネーミングライツ資金調達額が、プロスポーツより、100倍から1000倍も
低い理由は後述するが、問題は資金調達額そのものの少なさではなく、
経費より10倍以下も少ない赤字
、であること。

表1)滋賀県ネーミングライツ導入実績 (出典:滋賀県Web「ネーミングライツについて」)

公式施設名      愛称(ネーミングライツ)  年間ネーミングライツ料
県民の森        滋賀日産リーフの森        60万円
滋賀県立長浜ドーム   長浜バイオ大学ドーム       240万円
滋賀県立体育館     ウカルちゃんアリーナ       300万円



役所に経費の意識が無いが故に、経費を測定しない
 
 資金調達額より経費が多い問題が認識されない理由は2つある。
1) 役所に経費の意識が無い
2) 経費の意識が無いが故に、経費を測定しない

 例えば、ネーミングライツの経費項目を挙げていくと、1:自治体職員の人件費。
2:募集から名称変更の告示までに要する広報広告費。 3:契約に要する費用。
4:名称変更に伴う「道路標識やバス停や施設看板の変更に要する作業費用」

4の作業は広範囲かつ非常に高額ゆえ、自治体と事業者の役割分担を
3の契約で詳細に定める必要がある。 どう対応しても、経費は莫大にかかる。

注)「公共施設ネーミングライツ資金調達額は、経費の 1/10以下」という前提は
 「資金調達額が表1。経費4は全て事業者負担」を想定する。 もし
経費4を自治体側が全て負担すれば、経費の 1/10どころの話では済まない。

 では実際、経費4を自治体と事業者のどちらが負担しているのか?
この論文の78頁によれば、147自治体にアンケートを行った結果、全体の
76.9%は事業者が負担。 残り23.1%は自治体が負担(および無回答)。



自治体のネーミングライツ資金調達額が、1000倍も低い理由

 ネーミングライツ(命名権)は、そもそも「施設への直接的な集客数:前者」よりも
マスコミ報道(特にテレビで試合中継)で間接的に視る者の数):後者」が
ダントツに多いプロスポーツ施設を前提としたビジネスである。

 ネーミングライツ発祥地アメリカではスポーツ毎のネーミングライツ料が同国での人気に比例。
ネーミングライツ料が最も高いのは、最も人気が高いアメフトの競技場で、次が野球場。 
端的に言えば、ネーミングライツ料は後者の数に比例する。前者の数では決まらない。

 以上を簡単だが、ネーミングライツの基本と定義し、日本に輸入された後の動向を考察しよう。
日本でも輸入当初は、日本で人気が高いプロスポーツの野球場とサッカー競技場へ限定的に
導入され、ネーミングライツ料の相場は年間数億円だった。 この相場は現在も続く。

 自治体の多くは、日本のプロスポーツ施設が得る高額なネーミングライツ料を見て、
ネーミングライツに参戦。驚くことに、スポーツ施設に限らず、あらゆる公共施設に、年間
数千万円のネーミングライツを募集したが、入札不調で契約が成立しない案件が続出。

 自治体の目論見は「公共施設への直接的な集客数(前者)は少なく見積もっても
プロスポーツ施設の1/10はあるから、ネーミングライツ料もプロスポーツ施設の1/10、
つまり年間数千万円は貰えるだろう」である。

 自治体が年間数千万円で契約成立しない理由は、ネーミングライツの
基本を知っていれば、簡単に分かる。つまり、
ネーミングライツ料を決める要因は、後者にあり、前者は殆ど関係がない

 なぜなら、前者は1試合で数万人にすぎないが、後者は100倍の数百万人を期待できる。
特に野球やサッカー等、人気が高いスポーツで優勝がかかる試合なら、テレビの視聴者数は
1000倍を確実に超す。 100倍~1000倍もネーミングライツ料が違う理由がここにある。



解決策は、顧客・市民と価値を協働で創る意識改革

 理由はまだある。 自治体は、ネーミングライツの考え方・意識が悪い(表2)。
表2を見ると、県から企業への関係は「命名権の付与」としか書かれていない。
「付与(販売)するから、対価を出せ」という意識なのだろう。

 この意識だから、ネーミングライツ料は後者(テレビ中継視聴者数)で決まる。
後者を期待できない自治体は「付与(販売)するから」という意識ではダメ。

「あなた(御社)が望むことを協働して達成するから」という意識へ改革すれば
顧客の価値(ネーミングライツ料)を高めることができる

表2)滋賀県ネーミングライツ導入の効果 (出典:滋賀県Web「ネーミングライツについて」)
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顧客価値の創り方が分かる『競わない地方創生~人口急減の真実』 目次

第1章 人口減少対策をビジネスの基本から導く
第2章 弱者(地方都市、中小企業)の経営は、強者とは正反対
第3章 弱者は競争するな。自分が1番になれる軸を創る
第4章 1番になる最良の方法は、協働という「働き方」
第5章 学習しない高給な公務員が、地方を滅ぼす
第6章 顧客価値は顧客目線な遊び心から創造される
第7章 現象でなく原因を考えると、人口急減の理由が分かる


       若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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            講演内容サンプル
『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料 1~人口減少対策編

『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料 2~自治体経営&中小企業経営編

『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料3~働き方を改革する場所に人が集まる編

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