猿払村は競わない漁業で、高所得と出生率2.47を実現~人口減少対策論2

前回→ 出生率2.47の猿払村、所得の高さ日本3位~人口減少対策論1 の続きです。

競わない漁業で、猿払村は日本3位の平均所得784万円

 猿払村(人口2825人)の平均所得784万円は日本で3番目に高い。 村の仕事は、
ホタテ漁業(第1次産業)と、その加工・流通など6次産業。 高所得の鍵はホタテにある。

 冷水域に棲息するホタテ漁は、猿払村を含む日本最北の宗谷支庁エリアが有利。
エリア内10都市の主要産業は漁業だが、ホタテ水揚量は猿払村がダントツで日本一。

 ということは、他都市とは違うホタテの漁業方法がある。 それは「競わない漁業」。
日本の漁業は乱獲競争(を行政が放置)で衰退し続けている。 



日本の漁業は乱獲 競争(を行政が放置)で衰退し続ける

 生物は乱獲すれば、値崩→絶滅の途を辿る。 宗谷支庁エリアから収益源だった
ニシンは1954年に姿を消した。ホタテも絶滅寸前となり、1958年から禁漁となる。

 猿払村は「乱獲競争を止める同時に、ホタテを増やす」改革を1971年に着手する。
海に稚貝を蒔くリスクが高いホタテの培養殖事業に、村の年間税収とほぼ同額の
4220万円の投資を、笠井村長は議会で次のように言い、議員から賛同を得る。

「ホタテは2度カネを生む産物だ。海から揚げてカネになり、加工してまたカネになる。
加工場を造れば建設業者もうるおうし、主婦たちの雇用も促進される」

ホタテの培養殖は、籠に入れるか紐で垂らす「垂下式」と、海に蒔く「地蒔き式」がある。
 垂下式は所有者が分かるし、ホタテが他地域や遠海へ流れるリスクが無い。 しかし
海底に接しない不自然な環境では、品質が落ちる。 ローリスク・ローリターン型。

一方、地捲き式は所有者が分からないし、ホタテが他地域や遠海へ流れるリスクが高い。
しかし、品質は高い。 猿払はハイリスク・ハイリターンの地捲き式を採用した。

 だが、地捲き式で乱獲すれば、ニシン絶滅・ホタテ禁漁になった過去と同じ途を辿る。 
だから、競争を排して、グループ操業に徹した。



政策は、複数を同時かつ連携的に打つ。戦力逐次投入はダメ
 
 猿払村の政策は、上記2つに加え、あと2つある。 4つの政策を以下に整理する。

1)ホタテの培養殖事業に村の年間税収と同額の4220万円を投資
2)個人の乱獲は止めて、グループ操業を採用
3)ホタテを出荷するだけでなく、加工業を育成 
4)崎陽軒のシウマイなど有名商品にホタテを入れる連携

 以上4つの政策の連携・相乗効果で、仕事の量と質=収入はドンドン向上。
出生率も劇的に向上して2.47。

 結論です。 地方創生で重要なのは、政策を複数同時かつ連携的に打つこと。
政策=戦力の逐次投入はダメ。 縦割り主義のバラバラ政策ではムダ。

 『競わない地方創生~人口急減の真実』は、政策を複数同時かつ連携的に打つことで
成功した事例と、政策=戦力の逐次投入で失敗した事例を詳解している。



『競わない地方創生~人口急減の真実』 amazon紹介文
【間違った前提で考えない。現場視点の現実的な方策】

● 「子育て世代が格安な価格で入居できる公営住宅」で人口を急増させ、「成功事例」とされた自治体の人口はその後急減した。「人口を金で買う」より有効な方策がある。 【→解決法は第1章】

●大企業の地方移転を政策化しても投資対効果は非常に低い。本社を移転しても、
採用枠は非常に狭い。最大の問題は、普通の若者に実現しない期待を抱かせる罪深さにある。 【→解決法は第4章】

● 「地域おこし協力隊」は定住率48%。起業率4%。「大きな成果を上げている」というのはタテマエで、でっちあげられた偽りの「成功事例」だ。 【→解決法は第1章】

● 役所の3悪は「計画に金と時間を浪費」「大きな事業が大好き」「真似ばかり」。 【→解決法は第2章】

● 「協働」がうまくいかない3つの理由。① 主役の座と手柄を協働者に譲らないで、自治体が欲しがる。 ② 協働者である市民にタダ働きを強いる。  ③自治体はコストとリスクを取っていない。 【→解決法は第4章】

●役所の中小企業支援策は「再生、創生」のネーミングとは裏腹に、存続が困難な企業の寿命を少しだけ先送りする「延命策」にすぎない。 【→解決法は第2章】

●自治体が何か文書化(制度化)するときれいごとやタテマエばかり並べて、形骸化して全く機能しないことが多い。 【→解決法は第5章】

●① 「地方に仕事はない(仕事の東京一極集中)」論のウソ  ② 「地方の若者は大都市へ流出(仕事の東京一極集中)」論のウソ ③ 「東京の出生率は低いから、地方に移住させれば出生率は上がる」論のウソ 【→解決法は第7章】

● B級ご当地グルメブームはなぜ終焉したのか。問題は? 【→解決法は第6章】



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料 1~人口減少対策編

『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料 2~自治体経営&中小企業経営編

『競わない地方創生~人口急減の真実』 講演資料3~働き方を改革する場所に人が集まる編
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