少子化・人口減少の成功対策は 「男性の正社員化」 という 不都合な真実
少子化・人口減少は「功罪の両面」で考える
全国知事会議が今週 「少子化・人口減少は、国家の基盤を危うくする
”死に至る病”である」 と少子化非常事態宣言を採択した。
7月15日開催の全国知事会議で少子化非常事態宣言を採択~産経新聞
知事たちの大袈裟な少子化非常事態宣言に、鳥肌がたつほど強い違和感がある。
違和感は主に次の3つ。
1) 少子化・人口減少の影響は「功罪の両面」があるが、罪だけと決めつける事。 更に
酷いのは「産まない女性は、国家の基盤を危うくする罪」と言わんばかりの卑劣さ。
地方議会での卑劣な「産めないのか」等ヤジと、同じ穴の狢である。
2) 地方議員の不祥事(ヤジ、横領事件、飲酒運転事件など)が相次ぐ中で開催した
全国知事会議で採択すべき重要課題は「地方議員の無給化など抜本改革」である。
参考記事1 なぜ日本は 議員の質が悪いのか ~ 地方議員は無給が欧州の常識・良識
参考記事2 飲酒運転 6月から千葉の議員3人目
参考記事3 青森・平川市議 定数20人中 15人が逮捕
3) 少子化は罪だけと仮定しよう。 少子化・人口減少は、かなり前から議論されてきた。
人口減少問題が少しも解決しない・地方で悪化した責任は、自分=知事にあるのだ。
にも関わらず、知事が自分の無策は棚にあげて「国は少子化対策を講じなかった。 国は
思い切った政策を!」と「要求するだけ=言うだけ」番長では、地方分権も地方創生もムリ!
成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない
「出生率の高さと、女性社会参加率の高さは比例する」 という デタラメな論調が日本を
支配しているが、事実は逆であると 『子どもが減って何が悪いか!』に書かれている。
この本は10年前、ちくま新書から刊行されてベストセラーになった。 その効果で
「成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない」という正しい論調が
主流になりかけた。 しかし、不都合な真実は隠蔽されて、美しいウソが盛り返した。
このように 「不都合な真実」を隠蔽して、ウソ・デタラメを美しく正当化して、
ウソを前提に間違った政策を作る「税金ムダ遣い」が日本は多すぎる。 例えば、原発、
里山資本主義のウソ ~ 失敗を成功と粉飾 ~ これぞ『地域再生の罠』 。
少子化を真剣に解決したいなら、デタラメな美しい論調が今も正当化されてるから、
少子化が止まらない「不都合な真実」を、そろそろ認めた方がイイ。
出生率の不都合な真実は、国際的に(女性社会参加の)先進国ほど出生率は低い、
国内を見ても、東京を筆頭に(女性社会参加の)先進地域ほど出生率が低い のは明らか。
厚労省も「アンケートの結果」という 逃げ道を用意して、同じ主張をしている。
出生率を高めるには「結婚率を高める=未婚率を下げる」
厚労省が 「分厚い報告書の冒頭に、上記の調査結果を配置した意図」 を考えてみよう。
社会保障を支える世代を増やす、つまり「出産=人口を増やす」には
「男性は非正規を正社員化、女性は逆の流れ」が必要!と主張したい のだろう。
しかし、この主張は「はっきり言うと角が立つ、不都合な真実」である。 そこで
「アンケート調査の結果」という事実を、分厚い報告書の冒頭に意図的に配置したのだろう。
アンケート調査とは、仮説をたて、その仮説を検証するものである。 厚労省は
「非正規と正社員では、男女の結婚率に逆転現象がある」という”仮説=思い込み”のもと
アンケートを設計したら”仮説=思い込み”通りの結果が出て「してやったり!」なのだろう。
女性が男に求める年収の高さと、未婚率の高さは、比例する
男性 30 歳代の結婚率は「非正規が24%、正社員は69%」という不都合な真実を
直視して、少子化対策を考えてみよう。 正社員のメリットは「雇用の安定、年収アップ」の
二点に集約されるが、これを女性が男に求めている「不都合な真実」も直視しよう。
拙著『日本版スローシティ』120頁以降で、未婚の女性が「結婚相手=男に求める年収」と
「未婚の男性が現実に得ている年収」を、都市別に考察したが、その要旨は以下の通り。
(データは厚労省科研費「若者の将来設計における子育てリスク意識の研究」と国勢調査)
女性が「結婚相手=男に求める年収」の要求は、都市規模に関わらず、現実に男性が
得ている年収より高い。 しかし、要求と現実の乖離は、地方都市は低く、大都市は高い。
未婚率も、地方都市ほど低く、大都市ほど高く、上記調査と相関関係が成立する。
つまり「未婚率の高さは、女性が男に要求する年収の高さと比例」しているのだ。
青森県の場合: 女性の非婚率19%、合計特殊出生率1.29 (国勢調査2005)
年収(万円) 未婚の男性 現実の年収、分布 未婚の女性が男に要求する年収、分布
200以下 47.9% 30.5%
200~400 49.6% 16.1%
400~600 1.7% 39.8%
600以上 0.9% 13.6%
東京都の場合: 女性の非婚率29%、合計特殊出生率1.00 (国勢調査2005)
年収(万円) 未婚の男性 現実の年収、分布 未婚の女性が男に要求する年収、分布
200以下 33.8% 29.7%
200~400 43.2% 4.3%
400~600 19.5% 26.8%
600以上 3.5% 39.2%
出生率を高める=結婚率を高める、2つの政策
「出生率を高める=結婚率を高める」には、少子化非常事態宣言で知事たちが言うように
思い切った政策が必要である。 そこで上記に着眼した 2つの政策を提示しよう。
1) 女性が男に要求する年収を、現実に即して対応してもらう「ヤンキー化」政策。
上の調査で「男の年収200万以下で良い」という答が両都市とも3割もある。 この答は
「愛があれば、収入は拘らない」と解釈でき、こういう女性が増えれば、結婚率は上がる。
収入は拘らないカップルは実際に少なくなく「ヤンキー」と定義し、今後消費の柱になる!と
主張する本『ヤンキー経済』や『ヤンキー化する日本』が今年上半期に発売、話題になった。
2) 未婚男性で最も多い年収200~400万の非正規層を、年収400万以上の
正社員にする政策。 これを既に実行している 広島電鉄の事例を考察しよう。
男性の非正規全員を正社員化した広島電鉄、5年後の成果
私の母校 がある広島市で、路面電車を運行する広島電鉄が、非正規社員318人
全員を、正社員にしてから5年が経過した。
対象は2001年以降に非正規で採用された運転士と車掌なので、318人は
ほとんどが「男性」であること、年齢は正社員になれた2009年で、
20歳代後半から30歳代前半の結婚適齢期にあることに注目したい。
上記主張を検証する格好のケーススタディとなる。 詳細な調査を、お金と時間を
かけて実施する価値は高いが、私は先ず、地元関係者に聞きとり調査を行った。
正社員になった彼らは今 「結婚する者が増え、持ち家の取得も進み、幸せに生きている」
と、地元関係者から嬉しい連絡が届いた (以下サイトでも同様な報告あり)。
必見! 30歳前後の男性非正規318人「全員を正社員化」した広島電鉄、その後
地元関係者からは、次の提案も頂いた。 「 非正規男性を正社員にすれば
”結婚が増える→出産が増える(人口減少が止まる)、持家取得など消費が増える”
この地方再生ネタで、久繁は5冊目の本を書けやぁ。 絶対、売れる思うでぇ 」
このように、出版のネタを提供してくれる仲間に恵まれる私、本当に幸せ!
少子化の解決策となる出産も、仲間(特に、パートナー)に恵まれることが重要である!
結論: 政策は「顧客目線、当事者意識」で考える
少子化・人口減少の解決策、つまり「出生率=結婚率を高める」政策は、次のように
「当事者意識で考える(自問する)」ことで初めて、まともな解を導くことができる。
自問1. あなたは親として、自分の大切な娘を、どんな男なら結婚させてもイイか?
答は恐らく「理想は資産家・医師など高収入者、最低でも正社員」ですよね!
自問2. バブル崩壊後、イイ男が減り続ける中、あなたは娘をどう教育してますか?
答は「自分の娘には自立できるよう、高い学歴・キャリアを歩ませてます」よね!
こういう高い学歴・キャリアの女性は30歳代で、46.5%が未婚(上記の厚労省調査)。
そう、「成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない」のです。
上記より、成熟した日本で、少子化の解決策は「男性の正社員化」です。 このように
正しい政策・成功事例は 「顧客目線、当事者意識」で考える と、生まれます!
若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰 地域再生プランナー 久繁哲之介
講演・執筆ご依頼、著者プロフは、こちら
講演内容サンプル
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (1)
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (2)
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (3)
全国知事会議が今週 「少子化・人口減少は、国家の基盤を危うくする
”死に至る病”である」 と少子化非常事態宣言を採択した。
7月15日開催の全国知事会議で少子化非常事態宣言を採択~産経新聞
知事たちの大袈裟な少子化非常事態宣言に、鳥肌がたつほど強い違和感がある。
違和感は主に次の3つ。
1) 少子化・人口減少の影響は「功罪の両面」があるが、罪だけと決めつける事。 更に
酷いのは「産まない女性は、国家の基盤を危うくする罪」と言わんばかりの卑劣さ。
地方議会での卑劣な「産めないのか」等ヤジと、同じ穴の狢である。
2) 地方議員の不祥事(ヤジ、横領事件、飲酒運転事件など)が相次ぐ中で開催した
全国知事会議で採択すべき重要課題は「地方議員の無給化など抜本改革」である。
参考記事1 なぜ日本は 議員の質が悪いのか ~ 地方議員は無給が欧州の常識・良識
参考記事2 飲酒運転 6月から千葉の議員3人目
参考記事3 青森・平川市議 定数20人中 15人が逮捕
3) 少子化は罪だけと仮定しよう。 少子化・人口減少は、かなり前から議論されてきた。
人口減少問題が少しも解決しない・地方で悪化した責任は、自分=知事にあるのだ。
にも関わらず、知事が自分の無策は棚にあげて「国は少子化対策を講じなかった。 国は
思い切った政策を!」と「要求するだけ=言うだけ」番長では、地方分権も地方創生もムリ!
成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない
「出生率の高さと、女性社会参加率の高さは比例する」 という デタラメな論調が日本を
支配しているが、事実は逆であると 『子どもが減って何が悪いか!』に書かれている。
この本は10年前、ちくま新書から刊行されてベストセラーになった。 その効果で
「成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない」という正しい論調が
主流になりかけた。 しかし、不都合な真実は隠蔽されて、美しいウソが盛り返した。
このように 「不都合な真実」を隠蔽して、ウソ・デタラメを美しく正当化して、
ウソを前提に間違った政策を作る「税金ムダ遣い」が日本は多すぎる。 例えば、原発、
里山資本主義のウソ ~ 失敗を成功と粉飾 ~ これぞ『地域再生の罠』 。
少子化を真剣に解決したいなら、デタラメな美しい論調が今も正当化されてるから、
少子化が止まらない「不都合な真実」を、そろそろ認めた方がイイ。
出生率の不都合な真実は、国際的に(女性社会参加の)先進国ほど出生率は低い、
国内を見ても、東京を筆頭に(女性社会参加の)先進地域ほど出生率が低い のは明らか。
厚労省も「アンケートの結果」という 逃げ道を用意して、同じ主張をしている。
社会保障を支える世代に関する意識等調査報告書 (厚労省) 調査結果:最初の頁男性は 正規就業者の方が未婚の割合が低い。
女性は 逆に正規就業者の方が未婚の割合が高い。
特に 30 歳代は、その傾向が以下のように顕著である。
男性の未婚割合は 正規就業者が 30.7%、 非正規就業者は 75.6%、
女性の未婚割合は 正規就業者が 46.5%、 非正規就業者は 22.4%。
出生率を高めるには「結婚率を高める=未婚率を下げる」
厚労省が 「分厚い報告書の冒頭に、上記の調査結果を配置した意図」 を考えてみよう。
社会保障を支える世代を増やす、つまり「出産=人口を増やす」には
「男性は非正規を正社員化、女性は逆の流れ」が必要!と主張したい のだろう。
しかし、この主張は「はっきり言うと角が立つ、不都合な真実」である。 そこで
「アンケート調査の結果」という事実を、分厚い報告書の冒頭に意図的に配置したのだろう。
アンケート調査とは、仮説をたて、その仮説を検証するものである。 厚労省は
「非正規と正社員では、男女の結婚率に逆転現象がある」という”仮説=思い込み”のもと
アンケートを設計したら”仮説=思い込み”通りの結果が出て「してやったり!」なのだろう。
女性が男に求める年収の高さと、未婚率の高さは、比例する
男性 30 歳代の結婚率は「非正規が24%、正社員は69%」という不都合な真実を
直視して、少子化対策を考えてみよう。 正社員のメリットは「雇用の安定、年収アップ」の
二点に集約されるが、これを女性が男に求めている「不都合な真実」も直視しよう。
拙著『日本版スローシティ』120頁以降で、未婚の女性が「結婚相手=男に求める年収」と
「未婚の男性が現実に得ている年収」を、都市別に考察したが、その要旨は以下の通り。
(データは厚労省科研費「若者の将来設計における子育てリスク意識の研究」と国勢調査)
女性が「結婚相手=男に求める年収」の要求は、都市規模に関わらず、現実に男性が
得ている年収より高い。 しかし、要求と現実の乖離は、地方都市は低く、大都市は高い。
未婚率も、地方都市ほど低く、大都市ほど高く、上記調査と相関関係が成立する。
つまり「未婚率の高さは、女性が男に要求する年収の高さと比例」しているのだ。
青森県の場合: 女性の非婚率19%、合計特殊出生率1.29 (国勢調査2005)
年収(万円) 未婚の男性 現実の年収、分布 未婚の女性が男に要求する年収、分布
200以下 47.9% 30.5%
200~400 49.6% 16.1%
400~600 1.7% 39.8%
600以上 0.9% 13.6%
東京都の場合: 女性の非婚率29%、合計特殊出生率1.00 (国勢調査2005)
年収(万円) 未婚の男性 現実の年収、分布 未婚の女性が男に要求する年収、分布
200以下 33.8% 29.7%
200~400 43.2% 4.3%
400~600 19.5% 26.8%
600以上 3.5% 39.2%
出生率を高める=結婚率を高める、2つの政策
「出生率を高める=結婚率を高める」には、少子化非常事態宣言で知事たちが言うように
思い切った政策が必要である。 そこで上記に着眼した 2つの政策を提示しよう。
1) 女性が男に要求する年収を、現実に即して対応してもらう「ヤンキー化」政策。
上の調査で「男の年収200万以下で良い」という答が両都市とも3割もある。 この答は
「愛があれば、収入は拘らない」と解釈でき、こういう女性が増えれば、結婚率は上がる。
収入は拘らないカップルは実際に少なくなく「ヤンキー」と定義し、今後消費の柱になる!と
主張する本『ヤンキー経済』や『ヤンキー化する日本』が今年上半期に発売、話題になった。
2) 未婚男性で最も多い年収200~400万の非正規層を、年収400万以上の
正社員にする政策。 これを既に実行している 広島電鉄の事例を考察しよう。
男性の非正規全員を正社員化した広島電鉄、5年後の成果
私の母校 がある広島市で、路面電車を運行する広島電鉄が、非正規社員318人
全員を、正社員にしてから5年が経過した。
対象は2001年以降に非正規で採用された運転士と車掌なので、318人は
ほとんどが「男性」であること、年齢は正社員になれた2009年で、
20歳代後半から30歳代前半の結婚適齢期にあることに注目したい。
上記主張を検証する格好のケーススタディとなる。 詳細な調査を、お金と時間を
かけて実施する価値は高いが、私は先ず、地元関係者に聞きとり調査を行った。
正社員になった彼らは今 「結婚する者が増え、持ち家の取得も進み、幸せに生きている」
と、地元関係者から嬉しい連絡が届いた (以下サイトでも同様な報告あり)。
必見! 30歳前後の男性非正規318人「全員を正社員化」した広島電鉄、その後
地元関係者からは、次の提案も頂いた。 「 非正規男性を正社員にすれば
”結婚が増える→出産が増える(人口減少が止まる)、持家取得など消費が増える”
この地方再生ネタで、久繁は5冊目の本を書けやぁ。 絶対、売れる思うでぇ 」
このように、出版のネタを提供してくれる仲間に恵まれる私、本当に幸せ!
少子化の解決策となる出産も、仲間(特に、パートナー)に恵まれることが重要である!
結論: 政策は「顧客目線、当事者意識」で考える
少子化・人口減少の解決策、つまり「出生率=結婚率を高める」政策は、次のように
「当事者意識で考える(自問する)」ことで初めて、まともな解を導くことができる。
自問1. あなたは親として、自分の大切な娘を、どんな男なら結婚させてもイイか?
答は恐らく「理想は資産家・医師など高収入者、最低でも正社員」ですよね!
自問2. バブル崩壊後、イイ男が減り続ける中、あなたは娘をどう教育してますか?
答は「自分の娘には自立できるよう、高い学歴・キャリアを歩ませてます」よね!
こういう高い学歴・キャリアの女性は30歳代で、46.5%が未婚(上記の厚労省調査)。
そう、「成熟した国は、少子化・人口減少が避けられない」のです。
上記より、成熟した日本で、少子化の解決策は「男性の正社員化」です。 このように
正しい政策・成功事例は 「顧客目線、当事者意識」で考える と、生まれます!
若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰 地域再生プランナー 久繁哲之介
講演・執筆ご依頼、著者プロフは、こちら
講演内容サンプル
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (1)
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (2)
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (3)
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