シャッター商店街は、節税用の金融商品 ~ 税の取り方が、国の姿を決める

 消費税の大増税に続き、相続税も来年から大増税されます。 資産家が
節税策に使う不公平な「優遇策=抜け穴」は温存したままの大増税です。

税の取り方が、国の姿を決める」と、よく言われます。 この格言と『商店街再生の罠』で論じた
シャッター商店街は、節税策に使われる金融商品」は本質的に同じです。 

『商店街再生の罠』は 「相続税の取り方が、まちの姿を決める」 実態を明らかにして
「土地の課税率は、用途の公益性に連動させる」提言を以下のように詳解しています。
 

 『商店街再生の罠』 5章 「シャッター商店街は節税策に使われる金融商品」より引用

シャッター商店街が深刻な問題として指摘されて久しい。その理由は自治体も専門家も「後継者がいない」の一言で片づけています。その理由は表面的には間違っていないが「シャッター商店街の本質は節税」にあることを留意すべきです。
 節税は固定資産税と相続税の双方で可能ですが、ここでは本質を具体的に説明できる相続税の話をします。事業用宅地(店舗兼住宅)を事業承継する場合の相続税は、事業用宅地400㎡までが評価額を20%に減額して優遇されます。例えば、評価額3億円の土地400㎡を相続人1人が相続する場合、他の相続案件や借入金が無いと仮定して、事業用宅地とそれ以外の相続税額を比較してみましょう。
 事業用宅地の場合は、3億円を20%に減額した6千万円は基礎控除内となり相続税が免除されます。一方、青空駐車場など更地や賃貸オフィス等の優遇措置が無い土地の場合は、7900万円の相続税が課せられます。
両者にこれだけ大きな差があると、商店主が「子供が跡を継いでくれない(後継者がいない)」ことを理由に、商いを放棄する時、投資を行って不動産オーナーになるか、節税目的でシャッター商店主のどちらが得かを天秤にかけます。
  「攻めの投資」か「守りの節税」を選択する際に、最も重視される事項は「自分の余命年数と、不動産価値の上昇」です。投資を回収するには、一定の時間と価値上昇が必要だからです。
 商店主が高齢者の場合や、地方都市など高い賃料を期待できない立地の場合、賃貸用店舗等への建て替え投資の意欲は湧かず、必然的にシャッター商店が選ばれます。 高齢化と地方経済停滞が進むなか、シャッター商店街が増え続ける本当の理由は「商店街が節税対策に使われる金融商品」という特性にあるのです。 (中略) そういう観点から前著『地域再生の罠』では3つの提言の3番目に、次の理念と施策を提唱しています。
  まちづくりは土地所有者(不動産オーナー)次第だから、土地の課税率は、用途の公益性に連動させる。自治体の公的支援は、市民の交流を促す公益空間に集中する。


相続資産60兆円強に、相続税収1.5兆円は、徴収率わずか2%
 
 以上より、相続税の現状は「日本の姿を醜くする」欠陥があり、その理由は
「徴収が非常に不公平(優遇策=抜け穴だらけ)」な欠陥から生じていることが分かる。
 
 相続税の不公平さを理解するには、実行税率と徴収率の差に注目すると分かりやすい。
相続税は累進課税方式で、実行税率は最大50%だが、徴収率は僅か2%にすぎない(注1)。

 つまり、多くの人が「シャッター商店街を節税策に使う」等の「優遇策=抜け穴」を使い
相続税を払っていない。ごく一部の人だけが高い税率で相続税を負担している。

 法人税も、不公平さを露呈している。 法人の7割以上が支払い免除企業で、
3割以下が高い税率で税を負担している(詳細は以下)。
 法人税の特殊事情、多い「支払い免除企業」

 消費税は公平に課税できると言い、消費税の大増税をする前に、やることがある!
ムダな支出を減らす事は勿論、不公平な税制を改めるのが先である。 そこで提案。 


相続税も法人税も、税率は下げ、徴収率は「上げて、公平にする」

1)相続税は、万人に公平な基礎控除(注2)は残し、不公平な「優遇策=抜け穴」を廃止。
 税率は現状の半分以下20%台に下げる。 それでも、年間税収は10兆円以上も増える。
  この増収は全て、社会保障費の財源に当てる。

2)法人税も同様に、不公平な「優遇策=抜け穴」を廃止。 税率は世界標準の20%台に下げる。
 この「税収増あるいは企業負担減」は、雇用の増加&賃金の増加に当てる。

3)消費税は相続税増収とセットで、廃止。 廃止の意図は、相続税による財源確保と以下。


資産を取り崩して消費する欧米人 vs 資産を増やし続ける日本人

 欧米人は子育てを終えると、自分の人生(余生)を楽しむ。 だから、欧米人は
消費税が高くても、資産を計画的に取り崩して、消費します。 

 一方、日本人は子育てを終えても、資産を死ぬまで増やし続ける。 日本人は 
消費税が5%と低いのに「消費に金を回せない=人生(余生)を楽しめない」実態が
次のレポートで分かる。
  日本人は死ぬ時が最も資産リッチ vs 欧米人は資産を取り崩して人生を楽しむ

 日本と欧米では、ライフタイルや国民性が違う。 だから、制度も「違う」はず。
私が提案する「税制改革、まちづくり」は、この違いを最も大切にしている。


税制も、まちづくりも、よそのマネでは、幸せになれない

 税制改革で言えば「ライフタイルや国民性が、欧米と違う」ことを考慮しないで
欧米(の高い消費税)をマネして、日本が消費税を上げ続けたら、どうなるか?

 日本の景気は悪化する。 日本人は「消費する=人生を楽しむ」ことを更に抑制… 
国民性の違いを無視した「 模倣は不幸の始まり 」である。

 まちづくりも同様に、地域性の違いを無視した「 模倣は不幸の始まり 」である。
「ライフタイルや国民性が、欧米と違う」ことを考慮しない欧米を表面的にマネする
まちづくりの弊害を 拙著『地域再生の罠』 で以下のように詳解している。

『地域再生の罠』 4章 「西欧とライフスタイルが違う日本でコンパクトシティ模倣は無謀」より引用

西欧人は老いも若きもアクティブだ。人と交流することが好きで、人が集まる賑やかな場所に毎日のように出かける。彼らの交流は損得勘定ぬきで、彼らは論理的ではないユーモラスなお喋りを延々と楽しむ。スローフードの本質はここから生まれた。
 イタリアのランチは、大切な人とお喋りしながら2~3時間ゆったりと楽しむのが主流だ。昼休みは職場から自宅に戻ってランチを楽しむ人も少なくない。このライフスタイルには職住近接な都市構造、つまりコンパクトシティが求められる。近隣市民と毎日のように交流するにもコンパクトシティは都合がよい。 
 西欧人がコンパクトな環境に住むことは、彼らのライフスタイルを実現し、幸せになる手段である。ここにコンパクトシティの本質がある。都市政策は、市民の「ライフスタイルを先に尊重」して導かれるべきであるとするならば、西欧でのコンパクトシティは、まさに市民のライフスタイルに合致しているのである。日本のように、専門家が夢想した青写真のような先に造った都市政策に、市民が合わせているのではない。
 こうしたコンパクトシティの本質を理解しないまま、西欧とは市民のライフスタイルも価値観も異なる日本に、コンパクトシティの表層だけを模倣して持ち込む土建工学者は、あまりに心ない


 注釈と編集後記: 消費税も相続税も、今年から来年にかけて、大増税!

注1)相続資産60兆円強の試算は「高齢者の平均資産額5千万円強x年間死亡者125万人」。 
 2030年には年間死亡者が160万人、相続資産は80兆円を超える見込(詳細は以下)。
 家計資産を年代別&資産別に調査~H21年 全国消費実態調査

注2)相続税の基礎控除は、今年迄は「5千万円+1千万円x相続人数」。来年から
 「3千万円+6百万円x相続人数」に減額=増税、最高税率も50%から55%へ増税。
 基礎控除と税率は増税、不公平な「優遇策=抜け穴」は温存 詳細は、こちら 

 もう一度いいます。 今年から来年にかけて、消費税も相続税も、大増税されます。
皆さん、もっと怒ってイイんですよ。

 

     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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