国分寺市の稚拙なパチンコ出店阻止~損害賠償4.5億円を税金ムダ遣い

1) 意図的に削除される新聞記事に潜む、重大な社会問題

 新聞記事の内容は、どの新聞社も同じで「新聞社の横並び」と揶揄されているが、
ネットに掲載した新聞記事を新聞各社が一斉に削除する「新聞社の横並び」に注目すると
重大な社会問題が隠蔽される事実に気がつき、大切なことを学ぶコトができる。

里山資本主義のウソ ~ 失敗を成功と粉飾 ~ これぞ『地域再生の罠』 は、その一例。

 藻谷浩介が不法行為を犯した新聞記事は、すべて削除されたので、情報ソースは
ネット・ニュースとなる。  「デフレの正体」藻谷浩介さんに賠償命令 livedoor NEWS


2) 国分寺市の稚拙なパチンコ出店阻止、損害賠償4.5億円 

 今回は livedoor NEWSからも削除された記事 に注目したい。 以下は、
先月26日の読売新聞記事(削除されているので 情報ソースは、コレ  こちらも、どうぞ
 

国分寺市が、パチンコ店の出店を予定したビルの隣に図書館分館を設置したため、風営法などで出店が禁じられて損失を受けたとして、静岡県のパチンコ店経営会社などが 同市に損害賠償を求めた訴訟の
控訴審で、市は原告側に計4億5100万円を支払い、和解することを決めた
市議会が、3月定例会最終日の25日、関連議案を全会一致で可決した。
 和解条項は、パチンコ店経営会社に3億3400万円、出店予定ビルを所有していた不動産業者に1億1700万円を、 市が今年5月23日までに支払う内容。
和解金は、財政調整基金を取り崩して捻出する
。今月中にも東京高裁で和解が成立する見通しだ。
 1審・東京地裁判決などによると、 出店計画を知った同市は、2007年2月、 出店予定ビルの隣接地に 「市立本多図書館駅前分館」を設置。 風営法などが図書館から50メートル未満における パチンコ店の営業を禁じているため、 パチンコ店経営会社は出店を断念した。 1審で市は、図書館を設置した目的について、「図書館の必要性と有用性が市議会で議論され、市民の要望に応える形で(関連議案が)可決された」 などと主張していた。  しかし同地裁は、この議論を「アリバイ」と判断、 出店阻止が目的であったことを認め、「営業上の権利を侵害した」として 市に約3億3400万円の支払いを命じていた


 ツッコミ所が満載、というか、本を出して世に問う価値の高い社会問題だと思う。 ちなみに、
国分寺市の隣 小平市で起きた住民訴訟 は昨年『来るべき民主主義』という本に発展した。

「パチンコ出店阻止に稚拙な行政対応で、4.5億円の損害賠償を税金で払う国分寺市」でも
住民訴訟が起きるのは必至である。 以下にポイントを整理しよう。

1.風俗店が既に多い町で、たった1店の新規パチンコ出店を阻止する違法性の認識欠如
2.その阻止策を公開で議事録が残る議会で決定した(違法性の記録を残す)失態
3.議会の失態による損害賠償4.5憶円を、税金で払う責任の欠如
4.一審(昨年7月)で賠償金は3.3億円。4.5憶円に増額してまで和解する説明責任の欠如
5.増額1.17憶円はパチンコ1店に店を賃す不動産オーナーである重大さの認識欠如
6.不動産オーナーが私益を追求すると「まちは滅びる」リスク意識の欠如


3) 不動産オーナーが私益を追求すると「まちは滅びる」

 拙著『商店街再生の罠』5章で「不動産オーナーが私益を追求すると
「まちは滅びる」危険を問題提起した。『商店街再生の罠』の該当部を以下に引用する。

180―181頁)北関東の歌舞伎町と異名をとるほど風俗店に席巻された太田市南口一番街の例は、不動産オーナーが自分の店舗を誰に貸すかによって「まちは滅びる」こともある怖さを示しています。この例で最も注目すべきは、まちが滅びる原因をつくった不動産オーナーは「その町に住んでいない、その町に愛着がない」ことです。

 太田市の清水市長は、多額の公的支援が生み出した不動産価値の向上を、不動産オーナーたちの私益追求に使われた矛盾と悔しさを雑誌インタビューで次のように語っています(週刊東洋経済2005.9.3)。
 「地元商店街はもともと客が好むような商店の構成になっていなかった。まったく連携していない。魅力がなくて、これ以上落ち込みようがない状態だった。大田駅の南側には風俗店が多く、北関東でも有数の歓楽街といわれている。開発された南口の地主は、実は北口の老舗のだんな衆だ。自分たちが住む北口は愛着があるから、歌舞伎町のようにはしたくない。でも、南口はカネになるところに貸し、自分は北口で悠々自適に生活している。」

187頁) 前著『地域再生の罠』では3つの提言の3番目に、次の理念と施策を提唱しています。 
 「まちづくりは土地所有者(不動産オーナー)次第だから、土地の課税率は、用途の公益性に連動させる。自治体の公的支援は、市民の交流を促す公益空間に集中する。」


4) コンパクトシティ実践に必要な2つの前提

 まちづくり(特に、コンパクトシティ)に関わる方は、国分寺の事例を是非
「自分ゴト」として考えてほしい。

 コンパクトシティの理念「郊外に住まず、駅前のコンパクトな場所に住め」を実践するなら、
駅前など地価の高い「土地の所有・利用」に次2つの前提が必要である。

前提1) 不動産オーナーが「公益精神に基づく土地の利用」を自発的に行う。
前提2) 行政が「公益的な土地の所有・利用」を法的強制力を使ってでも執行する。


「国分寺市の稚拙なパチンコ出店阻止で、損害賠償4.5億円を税金で払う」失態=失敗は、
前提が2つとも欠如している。 この前提や司法など、市がもう少し「考えて、勉強して」いれば
国分寺市の「失敗=税金ムダ遣い」は起きなかったはずだ。
 
 国分寺市の「失敗=税金ムダ遣い」は、日本が「税金ムダ遣い王国=借金大国」になった
原因と対策の方向性を示唆している。 この失敗は隠蔽せず、ぜひ皆で共有・勉強しよう!


まとめ) 税金を使う公権者は、もっと「考えよ、勉強せよ」

 自分のお金なら、ムダ遣いは本人の自由、ムダ遣いがバカげたコトでも構わない。でも、
税金の場合、ムダ遣いは許されない、バカげたムダ遣いの責任(賠償金)は負うべき。

 税金を使う公権者(公務員、議員)は、もっと「考える、勉強する」コトが必要。
前例や他都市事例を「調べた、マネした」だけでは「考えた、勉強した」とは言えない

 調べる対象にしても、新聞テレビやエセ専門家が「成功」と喧伝するが、実は
成功していない事例でなく、新聞テレビや自治体が隠したがる「失敗」に目を向けよう。
 
 失敗は成功のもと! 失敗は学びの宝庫! だから、新聞テレビと自治体さん、
失敗情報は隠蔽せず、皆で共有して「豊かな生活=成功」に繋げましょう!




     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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『地域再生の罠』ちくま新書
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『商店街再生の罠』ちくま新書

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