倒産は減少、廃業は急増の謎 ~商店街衰退は補助金依存と家族経営主義

「廃業しました」と、知り合いからの 悲しい報告が例年になく多い。

 一方、新聞テレビは「企業の倒産が歴史的低水準。 アベノミクスの効果」と、さも
景気が良いと錯覚させるような報道をしている。 どちらが正しいのか?

 このように、生の情報(一次情報)に数多く接すると、新聞テレビの情報(二次情報)が
「正しくないかも? 事実を隠しているかも?」等と、「問題意識をもつ」ことができる。

里山資本主義のウソ ~ 失敗を成功と粉飾 ~ これぞ『地域再生の罠』  は、その典型。

 以上の問題意識から考察を行うと、新聞テレビが報道しないから
表面化しない2つの重大な問題が浮き彫りになった。

1) 倒産は確かに減少しているが「廃業が急増」している。 
2) 国民生活に密着した業界、特に「食品スーパー」では、倒産も廃業も増えている。


問題1) 企業の「倒産は減少、廃業は急増」の謎

倒産は減少、休廃業は急増の謎 という記事のタイトル「謎」が示すように、
「倒産は減少、廃業は急増」は珍現象であり、日本の危機を示唆する現象でもある。

 この問題を読み解くには「廃業と、倒産の違い」に留意する必要がある。 喩えは悪いが、
倒産と廃業の違いは、それぞれを「病死」と「自殺」に置換すると分かりやすい。


倒産は、財務が債務超過など悪化して起きる
 
 倒産は、経営者の存続意欲は高いが、財務が債務超過など悪化して起きる。
不渡りや融資打切など、外部から強制的な死亡宣告を受けた「病死」に喩える事ができる。

 病死は多くの場合、身辺整理をする間もなく急に訪れ、周囲(取引先、社員)に
迷惑をかける。 迷惑の整理法として、倒産には「会社更生法」等がある。 同法の適用で
生き返る例も多い。 有名な再生事例に、日本航空、シーガイア、大阪シティドーム 等がある。

 要するに、倒産は「財務=企業体力」の悪化という病気で起きる。 倒産は病気だから
大企業病など企業規模に関わらず発生する。 死亡宣告を受けても、大きすぎて潰せない等と
再生(生き返る)奇跡が意外に多く起きてしまう。 これを「モラル・ハザード」と言う。


廃業は、経営者が「将来を絶望、意欲を喪失」して起きる 
 
 廃業は、財務は現時点でプラスだが、経営者が存続意欲を喪失して起きる。
将来を絶望した経営者が自ら死を選ぶ「自殺」に喩えることができる。

 自殺は遺書(遺言状)を残し、周囲へ迷惑がかからないよう身辺整理をしておく。 この
身辺整理を「清算」と言う。 つまり、周囲(取引先、社員)へ迷惑をかけないように、
債務と未払給与は全て清算してから、法人の生命を断つ「責任を全うする対応」である。

 廃業は、倒産より手続きが自主性や公平性を要求される等、とても面倒。 それでも、
経営者は「意欲を喪失=将来を絶望」して、廃業を選ぶ。 その廃業が急増しているのだ。

 なぜ、将来を絶望する人が急に増えたのか? 希望をもつには、どうすれば良いのか?
廃業も倒産も増加中で零細企業が中心の「食品スーパー」業界に答えを探してみよう。


問題2) 国民生活に密着した「食品スーパーの倒産は増加」

 講演などで私が地方へ行くと、地元零細資本の食品スーパーは閉店したり
閉店が噂されている事例は多く、地元の方は次のような不安を口にする。

食品スーパーの利用者は、食品を一括して買物できる店が閉まると「買物難民になる」。
食品スーパーが核店舗の商店街は、核店舗の閉店で「商店街が衰退する」。


 いずれも既に顕在化している社会問題であり、地方の食品スーパー閉店が加速すると
「商店街の衰退、買物難民の増加」問題は更に深刻化するだろう。

 零細企業の食品スーパーが、廃業や倒産に追い込まれた理由は以下記事によれば
消費増税や円安による「コスト急増」と、公共事業乱発による「人不足」 が指摘される。

消費増税関連で初の倒産~新潟県「河治屋」
食品スーパーの倒産が続出か
2013年は地方スーパーと水産の倒産が目立った

廃業の理由が「コスト急増」と「人不足」という事実は例年通りだが、その原因
「消費増税、円安、公共事業乱発」は全て「アベノミクスの成果(悪影響)」であり、これが
「倒産は減少、廃業は急増」の理由と言えるだろう。


商店街衰退の理由は「補助金依存」と「家族経営主義」

 知り合い(特に、商店街関係者)からの廃業報告は毎年、耳に入る。 前述のように
廃業の理由は「コスト急増」と「人不足」の2点に集約される。 それぞれ簡単に整理しよう。

1.コスト急増: 経営に必要な「お金を補助金に依存」する零細企業が多い。
  補助金で事業が成立していたので、補助金支給が終わると廃業。

2.人不足: 経営に必要な「人を家族だけに依存」する零細企業が多い。
  家族経営で事業が成立していたので、家族が事業承継しないと廃業。

「商店街の衰退、零細企業の廃業」の理由は主に、補助金依存と家族経営主義にある。
衰退した商店街は、補助金を更に注入すると、衰退が加速する理由もここにある。

「商店街の衰退、零細企業の廃業」の問題点を正しく認識できれば、
必要かつ有効な対策として、次2点を導くことができる。

1. 補助金に依存しないで利益を出すノウハウ を提供
2. 家族以外の人と経営を連携するノウハウ を提供

『商店街再生の罠』は、以上の論理展開とノウハウを詳解している。


独りで頑張る経営者は、いつか地域に迷惑をかける

『商店街再生の罠』で詳解するノウハウは「家族以外の人と経営を連携」を特に重視した。
なぜなら、独りで頑張る経営者が廃業で、地域に迷惑をかける姿を数多く見てきたから。

『商店街再生の罠』後半3章は次の通り「家族以外の人と経営を連携」に焦点をあてている。

6章  「シェア」で雇用・起業を創出 → 家族以外の仲間と経営をシェア
7章  「地域経済循環率」を高めて第一次産業と共生 → 農業者と経営を連携
8章  趣味を媒介に「地域コミュニティ」を育成 → 顧客(市民)と経営を協働



 
     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (1)
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『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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