「売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」で、廃墟の大型店が再生

 空店舗率94%の 大型商業施設「ピエリ守山」が注目されています。
ピエリ守山 公式サイト を見ると、180店中、169店が閉鎖と分かります)

 以下サイトの写真集を見ると「廃墟」と化した衝撃の現実をご覧頂けます。
滋賀県最大級の大型モール・ピエリ守山の過疎化がヤバすぎる

 このサイトを見ると、多くの方が
「空店舗率94%となっても、営業を持続している現実」を不思議がっています。

 私も勿論、不思議に思いますが、もっと不思議なコトがあります。
営業を持続する理由が「再生の秘策があるから」と言うのですが、その再生秘策が、
旧来の「物販店の誘致」依存であるコトです。

 はっきり言いますが「物販店に依存=モノを売りたい発想」では、再生できません

 商業施設の再生に必要なのは、先月刊行した拙著『商店街再生の罠』の副題
売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」発想を転換することです。

 この発想転換で、廃墟確実と言われた大型商業施設が再生した事例を紹介しましょう。
千葉県船橋市にある「ビビット南船橋」です。

 ビビット南船橋は2004年「ららぽーとTOKYO-BAY」の隣に、
ららぽーとと似たテナントを集めて開業しました。

 要するに、ららぽーとの「集客を当てにした、成功を模倣した」のですが、これは
失敗を歩む典型事例ですね。 2006年には、テナントの半分近くが撤退していました。
 
 廃墟確実と噂されたのですが、たった数年間で見事に再生しています。
ビビット南船橋が再生したプロセス&ポイントを以下に整理します。

1) 成功事例の模倣を止めた
 ビビット南船橋(開業時の名称は、ビビットスクエア)の開業者&運営者は
アメリカの不動産投資運用会社「ラサール・インベストメント・マネジメント」だった。
 同社の不動産運用ファンド「ラサール・アジア・リカバリー・ファンド」に組成された
投資商品という位置づけから「成功事例を模倣する旧来型の商業施設運営」を採用した。
 成功事例を表面的に模倣した結果、隣で三井不動産が運営する年2500万人程を集客する
成功事例ららぽーとに「似てるけど、明らかに見劣りする陳腐な箱物」にすぎなかった。
 投資商品ゆえ売却の決断は早く、シンガポール政府系の不動産会社「キャピタランド」が
約210億円で購入、新たな運営者になった。

2)「売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」発想を転換した
 キャピタランドは、大規模な改修工事を行い、顧客がしたいコトに対応できる
新たなテナントを誘致した。特筆すべきは4階建ビルの最上階に
女性と子供を対象とした「学び系、癒し系、交流系テナント=顧客がしたいコト」
揃えたこと。 ビビット南船橋のテナント構成は、ここで確認できます

 学習塾が目立ちますが、その「顧客事情=顧客がしたいコト」を考えてみましょう。
通塾する子供を送迎する親御さんが増えているコト、彼ら(顧客)が送迎時に
「したいコト」に、ビビット南船橋は施設全体で見事に対応しています。

 無料駐車場に車をとめて、子供が学んでいる間に親御さんは、交流の場(4階)や
フードコート(2階)で過ごし、趣味の物販店(3階)に足を運んでもいいし、
帰りにスーパー(1階)で買物ができてしまう。

 ビビット南船橋4階で「交流の場」として、利用者から高い評価を得ていたのが
拙著『商店街再生の罠』8章で紹介した「NPO情報ステーションの民間図書館」です。
 残念ながら、この9月に民間図書館は ビビット南船橋から退去しました。 理由は
ビビット南船橋に入居を希望するテナントが急増した為です。契約期間満了をもって
ウエイティングのテナントに場所を譲ることにしたのです。


ビビット南船橋の民間図書館で、NPO代表の岡直樹さんと筆者(2012年9月撮影)
ぬいぐるみと絵本が沢山ある民間図書館は、母子が集う大人気の場所だった!
vivit.jpg


 2006年に、テナントの半分近くが撤退して廃墟同然となった「ビビット南船橋」は
「NPO情報ステーションの民間図書館」など「顧客がしたいコト」を揃えることにより、
7年後には入居を希望するウエイティングのテナントができるほど再生したのです。

「売りたいモノから、顧客がしたいコトへ」 イノベーションを起こすと、顧客は
物販店にも足を運んでくれる
仕組みを拙著 『商店街再生の罠』 で詳解しています。


若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

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ジャンル : 政治・経済

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『商店街再生の罠』ちくま新書

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