論理思考で消費税議論の裏を考えると争点は「政治家のリストラ」

 今年の総決算として、長めの論文を2部構成で書きます。
論理思考(ロジカル・シンキング)を話題にするので、専門用語と横文字が多く
「難しい、長い」と感じられる方は、第二部「実践編」から読むと良いでしょう。

第一部:論理思考「基礎編」 

 論理思考(ロジカル・シンキング)に関する本が売れています。
私も十冊ほど読みました。 オススメはコレ→ 論理思考と発想の技術 (PHP文庫)
 著者はマッキンゼー時代、大前研一氏と二枚看板と言われた後正武氏。
文庫本なので安い。しかも、中身は素晴らしい。

 本書をはじめ、論理思考本が徹底的に戒めているのが「二者択一の浅い議論」。
政治家の議論は、その典型で消費税もTPPも、いつも争点(イシュー)は 
消費税を「上げる、上げない」、TPPに「参加する、しない」と二者択一です。

 こういう国の根幹に関わる重要な議論こそ、幾つかの「サブ・イシュー」に分解して
掘り下げる「ピラミッド・ストラクチャー(あるいは、ロジカル・ツリー)」を作る
論理思考(ロジカル・シンキング)で考えるべきです。

 論理思考で考えないと、議論が割れた時は「結論を先送り、上幅や範囲を縮小」等
「姑息な小手先だけの修正(業界では「調整」と言う)」で議論を終わらせてしまう。

 では何故、政治家は論理思考でなく「二者択一の浅い議論」に走るのでしょうか?
サブ・イシューを掘り下げていくと「自分達に不都合な真実」が次々と明るみに出る
から、それを「避けたい(隠したい)」事が一番の理由と私は推察します。
 
 この手法は様々な分野に活用・応用できます。
不都合な真実を隠したい側は、それを隠せる「二者択一の浅い議論」に持ち込むと良い。
 これは政治と行政で多用されるが、普通の人も事実を隠したい時には効果あるかも?
 
 一方、何かを改善したいと本気で望む側は、論理思考でドンドン掘り下げて
「今は見えない真実」を浮き彫りにした後、本当のイシューを見つけると良い。
 
この手法・思考は、民間企業では常識です。 なぜなら、問題点を浮き彫りにして
改善を重ねて利益を出し続けないと、淘汰・倒産の憂き目にあうからです。

「目に見える現象、二者択一選択肢」だけを見て選択・判断するのは非常に危険!
でも、学校での勉強は、こういう視野狭窄な選択力ばかり要求しますね。

 私が関わる「地域再生」も、本気で改善(活性化)したいなら、この論理思考で
「今は見えない真実」を全て浮き彫りにした後、本当のイシューを探しあてるべきです。 ただ、
これを実践すると「権威の高い方や自治体の失敗が明るみに出る」ことになります。

 地域再生の議論も殆どの地域が「掛け声だけは立派で、表面的な浅い議論」
に終始する理由がここにあります。 
 私たち市民(国民)は、地域再生の問題に、消費税増税の問題に、論理思考で
「今は見えない真実」を浮き彫りにした後、本当のイシューを探しあてましょう! 
 
 以下、論理思考の実践編で、なぜ政治家のイシューが
消費税など歳入ばかりで、歳出カットに向かわないかを考えてみましょう。


第二部:論理思考「実践編」 

 事件は、某地方都市で講演した後の親睦パーティで起きた。

 今回のパーティ参加者は、講演聴衆者数を大幅に上回り、
不思議に思っていたら、パーティの主役は、講演した私ではなく
地元選出の某国会議員(以下、x氏と言う)だった。

(普通の講演後パーティ参加者数は、聴衆者の一部が講演後パーティに
引き続き参加するので、講演聴衆者数より必ず少ない。)

 パーティは、x氏の講話で始まり、乾杯後はX氏の周りに人だかりができた。
ある方が 「x先生、被災地には行かれましたか?」と聞くと、x氏は
”待ってました!”って笑みを浮かべて胸元から携帯電話かデジカメを取り出して
被災地で撮影したらしい写真を自慢げに見せ始めた。
 

 x氏の幼稚な行動を見た私は、前に読んだ次の本に想いを馳せた。
被災地の本当の話をしよう ~陸前高田市長が綴るあの日とこれから~ (ワニブックスPLUS新書)

 戸羽太陸前高田市長の本書85~87頁以下部分が、
国会議員X氏の行動を目の当たりにして、腑に落ちた。

陸前高田には、管直人首相をはじめとして、多くの政治家たちが視察にやってきました(中略)
しかし、明らかに「点数稼ぎ」や「物見遊山」でやってくる人も少なくありません。ある日、
市長室で公務にあたっていると「市長、東京からお客様です。玄関までお越し頂けますか?」
という内線が入りました。玄関へと向かうと、そこにはある国会議員がいました。
「なんでしょうか」「市長、ここで写真を撮ろう」その方は被害状況や復興の進捗など
一言も聞かず、市役所の看板が入る所で私とのツーショット写真を撮ると、そのまま
まっすぐ帰ってしまいました(中略)
 もっと酷い方もいました。私が被災地をご案内したのですが、
多くの犠牲者を出し、今では廃墟状態になっている旧市庁舎に来ると
「ここで写真を撮りたい」と言いだし、次の瞬間、信じられないことに
Vサインをしながら写真に収まっているではありませんか! この市庁舎でも
大きな被害があったことは説明済み、なのにですよ。さらに「さぁ、市長も一緒に!」と
Vサインを出したまま、私を手招きしましたが、さすがに丁重にお断りさせて頂きました。
表面上は平静に対応しましたが、心の中では「この人には人間の心があるのか」と
憤慨しました。こんな人に「頑張ってくれたまえ」と言われても…困ってしまいます。

                             (傍線強調は久繁)

 実は、本書を読んだ時「国会議員が“点数稼ぎ”の為に被災地へ来て写真を撮る」
と言う戸羽太市長の真意が、私には全く理解できなかった。なぜなら
「多くの方が被災した場所で写真を撮る行為」は、私の常識では
「点数(評価)を落とす」解釈しかできないから

つまり、同じ行為が国会議員にとっては、正反対の評価すなわち
「点数稼ぎ」になるとは、私には想像すら出来なかった。


 読書と交流を結びつける思考で「私と議員では価値観が正反対」である
イシューを得ることができた。しかし、この仮説思考は未だ「視点の狭さ・浅さ」を感じる。

 そこで、もう一つ結びつける対象を自分の”ブログ(情報発信)”から探してみた。
私は戸羽太市長の著書を読む前、ブログで「国会議員は100人に削減しよう!」と綴っていた。
増税前に、歳出を「供給者支援から需要創造へ」「コンクリート(箱物)から人へ」シフトして削減!

 理由は、国会議員も地方議員も人数が多すぎる。それ故に、存在価値の薄い議員が
「自分の存在価値を誇示する(点数稼ぎの)パフォーマンス」の為に、
多くの税金と時間が浪費されていると痛感していたから。

 ”ブログ、読書、交流を結びつける”と、次の仮説を導くことができる。

 存在価値の薄い議員は、国民が想像している以上に多い。
彼らは「自分の存在価値を誇示する(点数稼ぎの)パフォーマンス」材料に飢えている。
 一方、マスコミや支援者の今年最大の関心事は「被災地の支援」。
残念なことに、存在価値の薄い議員の関心事は
「被災地支援に関与している様に見える」パフォーマンス
にしかない。

 存在価値の薄い議員が「自身が被災地支援に関与している様に見せる」手段は
被災地で撮影した写真を見せるしかないのかもしれない。

 こういう議員が今、消費税を「上げる、上げない」の二者択一議論に熱をあげている。
財源捻出は「歳入増と歳出減は常にセットで、歳出減を優先して」考えるべきもの。
 でも議員は、いつも「歳出減」の話には熱が入らない。むしろ、避けたがっている。
なぜなら、自分たち議員が最大の「無駄な存在、無駄遣いの当事者」と解っているから

 私は再度「国会議員は100人で結構!」というイシューを提示したい。

皆様、よいお年をお迎えください。

若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 地域再生プランナー 久繁哲之介

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(2010/07/07)
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テーマ : 地方再生
ジャンル : 政治・経済

tag : 論理思考 消費税増税 議員削減

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『地域再生の罠』ちくま新書
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