顧客の心をつかむ「マルヤガーデンズ」

 鹿児島市の「マルヤガーデンズ」へ行き、(写真1)。
社長の玉川恵さんに館内を御案内いただきました(写真2)。

「顧客の心をつかむ、顧客を創る」方法論に、多くの発見がありました。

「顧客の心をつかむxx」って本が巷に溢れているけど、それを読んで
「顧客の心をつかめるようになった」という話は聞いたことがない。

 なぜだろう?
著者自身が「顧客として、心をつかまれた」経験に乏しいからだと思う。

 マルヤガーデンズへ行き、顧客として時間を過ごしてみれば、きっと
「顧客の心をつかむ方法、顧客の創り方」のヒントを感じとれるでしょう。例えば、


1.店員は顧客を見ると、ニコッとして「気持ちを込めた挨拶」をしてくれる。
 ファストフード店にありがちな「営業スマイル」ではなく、
 「楽しんでいってね!」って気持ちを込めているのが、顧客の私に
 しっかりと伝わってきて「心をつかまれてしまった」!

2.店員の数人と玉川恵社長が「まるで友達のように」話をし始めた。
 どうやら現場で起きた報告のようだ(話は社長の横にいる私にも聞こえる)。
  現場の情報(特に悪い情報)が経営者に上がらない職場が多い中、
 マルヤガーデンズほど、社内の風通しが良い会社を見たのは初めて!

3.マルヤガーデンズは、館内のあちこちで「女性が活躍」している。
 例えば、7階ガーデンズシネマ(写真4)を運営する鹿児島コミュニティシネマ
(略称:カゴシネ)の代表は黒岩美智子さん。 
  年会費2000円で、カゴシネの会員になれる。会員になると主に次2つのメリットがある。
 ①通常入館料1800円が1000円(3回観れば元が取れる)。こういう制度はよくあるが、
 ②カゴシネの活動(映画選定、広報誌作成など)に参加できる。
  趣味を通して「人と繋がり、仲間を創り、仲間と楽しむ」仕組みは非常に素晴らしい!
 カゴシネの詳細はこちら→ガーデンズシネマ

4.人が繋がることをコンセプトにするマルヤガーデンズは、カゴシネのように
 「人が繋がり、仲間と楽しむ」テナントが揃う。例えば、8階は結婚式場(写真5)。
 9階の桜島を望む「ビアガーデン」は人気が非常に高く、入場は予約が必要(写真6)。

 拙著『地域再生の罠』で、宇都宮109がテナントを埋めきれず、百円ショップを誘致して
 失敗した話を紹介した。このように全国には、箱物と各テナントのコンセプトがバラバラの
 商業施設は多く、これが「苦戦、撤退」を招く一因である事に注目しよう!
 (109他店は絶好調なのに、宇都宮109だけは4年弱で撤退した)
 
5.玉川社長に会う前、マルヤガーデンズ建物前の交差点に
 マルヤガーデンズ設置の傘かけを発見した(写真3)。
  マルヤガーデンズのある天文館は、アーケードが整備されていて
 雨が降っても傘なしで歩けるが、交差点を渡る時だけは傘が必要。
  でも、その瞬間だけカバンから折畳傘を出すのは面倒だし、急な雨で
 傘をもっていない人もいる。そんな配慮から玉川社長は、交差点に傘かけ設置を思いつく。

 交差点で信号待ちの通行者が「マルヤガーデンズ」ロゴ入りの傘かけを見れば
マルヤガーデンズのファン(顧客)になる可能性は高い。  
 だって、通行者の殆どは「マルヤガーデンズの顧客ではない」のに、
わけ隔てなく全ての人に、しかも無料で「雨に濡れないよう傘をご利用下さい」と
 語りかけるマルヤガーデンズの配慮に「心をつかまれる」よね!

「顧客の心をつかむ、顧客を創る」には、広告宣伝に大金を投じるより、
全ての人に「見返りを求めない愛・配慮」を与えよう!



参考)玉川恵さんが交差点に傘かけを置く発想と効果を、拙著
『日本版スローシティ』227頁で次のように説明している。

 横断歩道交差点の路面に物語を刻めば、信号待ちの市民はその物語を見ることで、
信号待ちのイライラを緩和できるだろう。このような活用アイデアを増やすほどに、
(物語を刻みたい市民から行政への)資金調達額はそれに比例して増える。そして、
効率性を追い求めて無機質であった公共空間(中略)に親しみや愛着を抱く契機となる。


写真1 マルヤガーデンズ外観
マルヤ外


写真2 マルヤガーデンズ4階 ガーデン前に座る玉川恵社長(解像度おとしています)
maruya玉川


写真3 マルヤガーデンズ前の交差点の「電柱に吊るした」傘かけ
マルヤ傘


写真4 マルヤガーデンズ7階 ガーデンズシネマ
マルヤ7シネマ


写真5 マルヤガーデンズ8階 結婚式場
マルヤ8チャペル


写真6 マルヤガーデンズ9階 ビアガーデンは、桜島を望む特等席
マルヤ9fビア


若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?
(2010/07/07)
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