人口減少対策の成功事例=下條村が人口急減~ 『地方消滅』のウソ

人口が急増した奇跡の村、人口が急減する理由は?

 人口減少対策の成功事例として有名な長野県の下條村が、急激な
人口減少=人口流出に陥っている。 下條村の総人口推移は以下の通り。

年度(年) 1980  1990   2000  2005    2014  2015(9月)
人口(人) 4078  3859   4075  4210    3998   3956 

 下條村の人口減少対策は、子育て世代が格安価格で入居できる住宅の整備が核。 
住宅整備は1997年に始まり、人口増の推移は、住宅整備の時期・数と見事に比例する。

 国勢調査2000年&2005年、連続して人口が急増した下條村は、2006年頃から今も尚
人口が急増する奇跡の村 と、まちづくりの専門家やマスコミが過剰に喧伝している。

 しかし、下條村の人口は「成功事例と喧伝される」のに比例して、人口が急減していく。
なぜか? 理由は主に2つ。 理由1のヒントは「成功事例と喧伝されるのに比例」にある。



理由1) 成功事例、みなで真似れば、みな衰退

 理由1は、周辺の自治体が「成功事例を真似した」から。 下條村の雇用は、
6割を隣接する飯田市に依存している。 1997年からの数年は、飯田都市圏で
唯一の格安住宅を提供する「ベッドタウン」として、周辺から人口を奪うことに成功。

 しかし、格安住宅など子育て支援策を、他の自治体も横並びで導入した結果、
下條村だけに存在した価値が無くなった。 つまり、理由1は人口流入の減少



理由2)  子どもの成長=ライフサイクルの節目 で 人口が流出

 一方、理由2は人口流出の急増! 「子どもの成長=ライフサイクルの節目」で
人口の流出が起きる。 要するに、人口の急減=流入の減少+流出の増加 

 以上2つの理由は、下條村の年齢別・人口推移を見ると、よく分かる。 同時に
この統計を見た時点で誰でも下條村の、人口急減を予測できる

     0-4歳 5-9歳 10-14歳 15-19歳 20-24歳 25-29歳 30-34歳 35-39歳
1990年 172  191  271   237   162   180   203  232
2005年 252  249  234   206   139   235   238  209



地方は、子育て支援 と 教育支援の 連携が必須

 子育て支援で「子育て世代=子ども0-9歳+親25-34歳」の人口は急激に流入した。
しかし、子どもが中学・高校へ進む「教育世代=子ども10-24歳+親35歳~」での
人口流出が2005年で止まっていない。 むしろ、2005年で人口流出は加速していた。

 この現象は、大都市のベッドタウンでは起きない。 地方のベッドタウンだから起きる。
ベストセラー『地方消滅』は、この特性を考えずに、トンデモないウソを書いている。



金(子育て補助金)で、人口を奪い合う地方都市

『地方消滅』第6章は、2040年の若年女性人口増加を予測して、上位20都市を
成功事例の如く紹介するが、1位の石川県川北町は、下條村の特性にソックリ!

 川北町(人口6282人)と、下條村(人口3998人)に共通する都市特性は次の通り。
まず、人口規模。 次に、自動車で30分圏内の隣接する中規模の都市に、優良な
雇用先がある。 自動車を運転できる親には、魅力的な住宅地である。

 しかし、両都市に学校は中学校までで、高校はない。 鉄道駅も無い
高校生が住むのは、かなり難しい。 もし、流入するなら、将来の流出が前提になる。

 このような両市が、充実した子育て支援だけを「周辺都市に先駆けて」実施すれば、
子育て世代の流入が大量に起きる。 しかし、教育世代になると、大量の流出が起きる。
更に、周辺都市が成功事例の子育て支援を真似するから、流入が減少する。

 これを『地方消滅』は、人口減少対策の成功事例と絶賛するが、実情は
金(子育て補助金)で、人口を一時的に奪いあう無意味な競争にすぎない。



人口減少対策を 5つに分けて 総合的&連携させて実施

 人口減少対策は「人のライフサイクルを4つに分けて+それぞれの節目で
移住が起きる前提」の5つを総合的かつ連携させて実施すると、効果が出る。
 つまり、減少していく人口を奪いあう競争ではなく、日本の人口を増やす効果!

1 婚活を支援 ~パートナーを見つけるには、愛とコミュニケーション力が必要
2 子育てを支援   ~ 子ども(10歳位迄)には、愛と時間が必要
3 教育を支援     ~ 子ども(11~22歳)は、とにかく金が かかる
4 雇用・起業を支援 ~ さまざまな能力と仲間が必要
5 移住を支援     ~ 1から4のライフサイクルに応じて、住む場を選ぶ


  今回は、2と3の連携が地方都市で、いかに重要か、という話でした。
 人口減少対策の詳細=続きは、別の機会に書きます。 今回は、お・わ・り



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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