商店街プレミアム商品券は「不正が多い、効果が無い」  割引は麻薬だ!

補助金の着服を「何が悪い!」と ヤジる 日本の地方議会

 商店街プレミアム商品券は「不正の疑惑が絶えない、効果が無い」ので、
自治体が税金を投入する補助事業としては、不適切」と言われて久しい。

 しかし、自治体の殆どは 「前例踏襲、横並び主義」で今もなお、発行し続けている。
消費税の大増税で 冷え込んだ消費を喚起する名目で、発行額を増やした都市もある。

 こう私が言っても、商店街プレミアム商品券の「不正の実態」を 御存知ない方は
上田令子・東京都議の ブログ を 御覧ください。

 上田・都議が言うように、これは「アンタッチャブルな案件」なので、不正(すなわち
補助金の着服)は表面化しないし、議会で話題にすると「何が悪い!」と野次が飛ぶ…



問題解決は、不正という「現象」を叩くより「本質」から考える

 補助金の着服を「何が悪い!」とは、日本の地方議会は完全に崩壊している。
参考記事 なぜ日本は 議員の質が悪いのか ~ 地方議員は無給が欧州の常識・良識

 補助金を簡単に着服できる制度を横並びで継続する 自治体も 同じ穴の狢 だ。
参考記事 国分寺市の稚拙なパチンコ出店阻止~損害賠償4.5億円を税金ムダ遣い

 不正(補助金の着服)という「現象」を正す戦いは、上田・都議など政治家に任せて
私は、商店街プレミアム商品券の問題を、本質から考えて、解決策を提案したい。



問題の本質は「顧客目線の欠落」

 商店街プレミアム商品券に関わる問題の本質は 「顧客目線が欠落」した
「自治体と店側が自らの都合ばかり優先」する 商店街衰退の本質 と同じである。 

 具体的に言うと、商店街プレミアム商品券は、特性として
消費者にとって、あまりにも「使い勝手が悪すぎる」から、効果が無い。
店側が「簡単に換金できる仕組み」に自治体がしたから、不正に利用されやすい。 

 消費者の「使い勝手を良くすること」と、仕組みの改善は、後述するように
簡単に出来る。 そうすると「補助金ばらまき、補助金着服」が出来なくなる。

 

商店街プレミアム商品券は 「補助金ばらまき」 に好都合

 以上の因果関係を含め、商店街プレミアム商品券(以下、プレミアム商品券)
の構造と特性を説明しよう。

 プレミアム商品券とは、プレミアム率10~20%分を加算した1.1万~1.2万円分の
商品券を、顧客は1.0万円で購入して、自治体や商工会が指定された店で消費する。 

 店は消費された商品券を、自治体や商工会などで換金する。 不正は、ここで
名前の挙がった関係者が「消費されていない」商品券を換金して起きる。

 不正の防止策は、店に「不正をしないと誓約する申込書」を書かせるだけ。
これは防止策というより、不正が起きた場合の責任を全て店側に押しつけてる…

 自治体は何故こんなことまでして、プレミアム商品券を発行したいのか?
プレミアム加算部分と発行経費部分に、自治体は補助金を出せるから。 

 店に経済的な負担は無く、顧客には強い「おトク」感を与えることができる。 
すると、購入希望者が殺到する。 ここに、自治体の2つの狙いがある。 

1.市民が喜ぶことをやっているとアピールできる。
2.自治体の補助事業は、公平性が重視されるので、購入希望者が増えるほど、
  発行額(補助金額)を膨らませる事ができる。 つまり、補助金を ばらまける。

 自治体毎の発行額(補助金額)は以下のように、巨額化している。
例1 消費税の大増税対策を兼ねた「阿波とくしま商品券」発行額 33億円 
例2 埼玉県川口市 「きらり川口商品券」 発行額  8億円  



プレミアム商品券は使い勝手が悪いし、全然「おトクでない」

 プレミアム商品券は、消費者にとって「使い勝手が悪い」。 しかも、実は
「おトクではない」。 その実態を、川口市などの例から説明しよう。

1) 先払いしたのに、使用期限が3~6カ月と短すぎて「無効になる」リスクがある
2) おつりが出ない。 券は1枚千円が多く「千円以下の消費では使えない」
3) 商店街でしか使えない券と、大型店でも使える券を「抱き合わせで買わされる」
4) 顧客に便利な大型店でも使える券は「プレミアム率が低いし、枚数が少ない」
5) そもそも、商店街の価格は、大型店と比べるとプレミアム率以上に割高である。

 こんなに「使い勝手が悪い」プレミアム商品券を、市民はどう思っているのか?
千葉県鎌ヶ谷市は以下の通り、市民から不要・要改善と「事業仕訳け」された。
鎌ヶ谷市民がプレミアム商品券を、不要・要改善と「事業仕分け」した 概要録



「ムダな補助事業」を存続させる為の「ムダな会議」実録

 更なる問題は、実施者「役所、商工会、商店街」が毎年、計画時に何度も集まって、
「この5項目と発行総額、今年はどうする?」等と議論し続ける事。

 プレミアム部分に出す「補助金も無駄」だが、人件費の高い公務員が、こんな
ムダな会議を毎年、何度も開くのも「税金の無駄」である。

 私が某商店街のアドバイザーとして会議に参加した時、私が示す助言や懸念に
実施者は以下の対応をみせた。

私) 顧客は、おつり欲しいですよ          答)そんな面倒な事できない
私) 使用期限、せめて1年にしましょう      答)面倒な事は、さっさと終わらせたい
私) 顧客に不利な抱き合わせ販売はダメ    答)前例も、他都市も、この方法
私) 割引はPLCで言う導入期と衰退期に限る 答)それ何ですか?
私) 意欲も知識も無いなら、この制度やめよう 答)・・・(一同、絶句)



割引するなら、クーポン券など 「消費時に支払う割引施策」

 プレミアム商品券は「プレミアム率10~20%分を加算する」特性に注目すれば、
消費前に消費額より少ない金を払う「先払い型の割引券」と換言できる。

 この視点をもつと、解決策は、簡単である。 不正の根源は「先払い」にあるから、
どうしても割引したいなら、クーポン券など 「消費時に支払う割引施策」に変えれば良い。

 クーポン券にすれば、割引額(補助金額)は消費後に「発生かつ確定」するから
不正は起きない。 クーポン券は対象とする「商品を絞る」ことで、効果が出る。

 クーポン券を「スマホ(携帯電話)配信」など電子化すれば、発行経費も削除できる。
対象とする「時期や顧客を絞る」ことが簡単で、更に効果を高めることができる。

 以上が、割引(値引)の王道である。 重要なので、要約しよう。
割引(値引)は「商品と時期」を限定して初めて、効果が出る!



割引は「商品と時期」を限定して初めて、効果が出る

 割引は利益を圧迫するので「商品と時期」を限定するのは、商売の常識である。
具体的に言うと、PLC(プロダクト・ライフ・サイクル)の導入期と衰退期に限る!

導入期の割引は 「新商品を発表時に認知してもらう」目的で割引率を決める。
衰退期の割引は 「取扱中止が目前の商品を在庫処分する」目的で割引率を決める。

 以上は基礎理論であって、例外は沢山ある。 典型例がウォルマートが1980年に
開発して、日本の大型店も追随した「EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)施策」である。

 EDLPは、取扱量が多い大企業だから「いつも同じ安さ」でも利益が出る。
プレミアム商品券とは「商店街など零細企業に、EDLPを強要」するバカげた施策なのだ。

 プレミアム商品券は「大型店はEDLP施策を補強できるから、効果がある」が、
商店街など中小企業には「効果が全く無い」、むしろ 衰退が加速する! なぜか?

 割引が常態化し、顧客は割引に慣れると 「割引する時しか買わなくなる」から。
店は 割引する時しか売れなくなると、割引を止められない。 そう、割引=値引 は麻薬



大企業に正しい戦略(薬)は、商店街には誤った戦略(毒)

 商店街(中小企業)と 大企業では、経営は正反対なほど違う で解説したように、
大企業に正しい効果的な戦略(薬)は、商店街には誤っていて弊害を生む(毒)になる

 しかし、役所の「商店街(中小企業)施策は、大企業施策の真似」 が多い。
だから、商店街(中小企業)の多くが衰退し続ける 事実に 気がつこう!
 
 自治体も商工会も商店街も、こういう「マーケティング・商売の基礎」さえ知らずに
プレミアム商品券=EDLP施策を、商店街再生に適用し続ける愚策は、やめた方がイイ


注1) 上記に関連する「マーケティング・商売の基礎」は、以下のサイトと書籍で学べる!
商店街の講演・経営者の勉強会・自治体の研修で 久繁哲之介が話す事 (1)
『地域再生の罠』増刷 「8刷」 御礼に 「ロングセラーの秘密」を公開
売れない理由は自分で作るな、顧客に聞け

注2) プレミアム商品券の「転売を無くす」方法は、以下サイトで分かる!
プレミアム商品券「買えない、使えない」不満が続出~転売を無くす方法

注3) プレミアム商品券の最新まとめ情報が、以下サイトで良く分かる!
プレミアム商品券の「換金、悪用、不正、不満、手数料=上納金」問題まとめ



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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