「どえりゃあ個性豊かだが、どぎつい名古屋」文化に学ぶ地域再生

 IBM本社に勤めていた頃(90年前後)、地方転勤が決まった同僚を見ていると
「行きたくない」と最も拒否反応が強い赴任先が「名古屋」だった。
(博多や札幌であれば、「2~3年遊んで来るよ」と笑顔で赴任する者が多かった)

 一方、地方へ赴任した同僚へ本社から戻って来いとの辞令に
「ここに永住したい」と拒否反応を示す者が最も多いのも「名古屋」だった。

 このエピソードは「どえりゃあ個性豊かだが、どぎつい名古屋文化」を示す。

 つまり、名古屋の「内」にいる住民の多くは、名古屋の文化・風土に満足していて
誇りさえ抱いている
。 まちづくりや地域再生の「理想」郷と言ってもよい。

 しかし、「外」の者は名古屋の文化・風土に「どぎつい」と違和感を示す
更に「内」の一部からも拒絶感の声が聞こえてくる。

 名古屋の話から得るべき教訓は、「地域も商品も人も、誰からも愛される訳は無く、
ターゲットを絞る(一部からは嫌われる勇気を持つ
)」事が、ビジネスと同じように
まちづくり・地域活性化にも欠かせないことだ。
 
 にも関わらず、現状の街造りと地域再生は、その意識が欠けている。
誰かに嫌われることを恐れるあまり「八方美人」すぎて
誰からも愛されない街・商店街が造られる
ことが少なくない。

 人も同じ。 誰かに嫌われることを極度に恐れて「空気を読む」のだが
傷ついたり、疲れ果てる人(特に若者)を多くみかける。
 こうして自閉した若者が、社会(地域)と関わり・繋がりをもつ活動の
お手伝いをしているが、正直どうしてあげればいいか悩んでいる。

 実は私自身も『地域再生の罠』を著して、新たな素晴らしい出会いに恵まれた
一方で、敵も誤解も発生した。誰かに嫌われることは覚悟していたのだが、先日
信頼していた大切な人からボロクソ言われて傷ついたから若者の気持ちがよく解る。

 こういう背景から、「どえりゃあ個性豊かだが、どぎつい名古屋文化」の
一貫性は立派だと思う。 以下に写真を交えて詳解しよう。


写真1)どぎつい看板や壁の向こうに見える派手な高層ビルは、2008年竣工の
「モード学園スパイラルタワーズ」。 建築関係の協会から賞を頂いた当ビルには
商業施設と、3つの専門学校が入居する。
 若者が「地元に定着し、駅前に集う」機能は、高く評価すべきだろう。
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写真2)交差点で「横から何かが向かってくるような恐怖感」を感じて、
振り向いて撮影したのは本年3月オープンした世界最大規模のプラネタリウム。
今、大都市でプラネタリウムはブームらしい。私自身は断然、自然の星空を見たいが、
ギラギラなネオンの大都市では、星を見るのも、虫を捕るのも人工的に造らざるをえないか。
 (この視点から、地方観光地の活性化は「自然が恋しい大都市民」を狙う発想が浮かぶ。
この視点を何処よりも早く実践したのが、黒川温泉の後藤哲也さん)
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写真3)大須商店街の賑わいは日本屈指と評判で、商店街・まちづくり関係者の視察が絶えない。
「これほど賑わう商店街にするには、どうすればよいか?」と安易に尋ねた視察者は
大須の方から「先ずは、簡単に答だけを知りたがり・真似したがる商店主が引退する事!」と
どぎついが、的を得た正論を頂いたと言う。

 私から一つだけ答を言うと、大須商店街は「ターゲッティングとゾーニング」が上手い。
秋葉原的な若者ゾーン、裏原のような古着好き若者ゾーン、巣鴨のような高齢者ゾーン、
更にはグルメ・ゾーン等があり、商店街のどこかに自分の居場所がある!
 

 この写真は、本日の教訓を象徴する。すなわち、顧客の評価は次の如く真っ二つに割れる。
一方は賑わうので楽しい! 方や、幟や看板が「どぎつい」ので目がチカチカするし、
店の陳列台や幟が街路を塞いで歩きにくいと。
 人も店も、誰からも愛される訳が無く、
ターゲットを絞る(一部からは嫌われる勇気を持つ)事が成功の鍵だ!

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地域再生プランナー、「若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

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久繁 哲之介

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テーマ : 地域活性化
ジャンル : ビジネス

マスコミと政治家の「建前な奇麗事」の弊害を解きあかす『地域再生の罠』

 昨日の日経新聞の社説「学歴とは別のものさしで人を見よう」は、実に
立派な御意見ですが、日経は「学歴とは別のものさしで新卒者を採用」してる?(注)
 
 この背景には、だいぶ前の日経社説「日本企業は女性役員を増やそう」を読んだ時、
Webで日本経済新聞社の役員一覧を見たら「女性は一人もいなかった」事がある。
(現在も女性役員はゼロ 日本経済新聞社の役員一覧

 マスコミも政治家も、このような「建前の綺麗事」を好んで多用するが、
同じ建前の奇麗事でも、許容できるものと、許されないものがある。

 日経新聞の上記社説はいずれも、許されない「建前の綺麗事」だ。
若者や女性に「日経新聞がそう言うなら、希望の少ない私たちにも夢がある!」と
すごく期待させて、夢を追いかけさせておきながら、数年後それは
実現不能な奇麗事だったというのは、あまりに残酷で罪深い。


 もっとも、今時の若者と女性は、もはや「マスコミと政治家の奇麗事」には騙されない
強かさと経験をもっている。このような背景から、私は『地域再生の罠』64頁で
「衰退した商店街の空店舗対策として、僅かな資金援助だけで若者に夢を追わせる
”夢ショップ(チャレンジ・ショップ)事業”の無責任さと、若者は応募しない現実」を指摘した。

 このように、マスコミや政治家や行政の「建前の綺麗事」から生じる弊害は
1. 若者や女性の失望感・政治不信を生む
2.夢ショップ事業など効果の無い事業に予算が無駄遣いされる
3.効果の無い事業がモデル事業となり模倣した地方都市や商店街が更に衰退し続ける
 
 など多岐にわたる。

『地域再生の罠』は、以上の構図と弊害を詳解しています。


注)日経は「学歴とは別のものさしで新卒者を採用」してる?
 の答と、マスコミの「建前な奇麗事」の実態と弊害を、大前研一さんの著書
『知の衰退からいかに脱出するか?』58頁より以下に引用します。

 東大卒の官僚の次ぐらいに成績優秀な人間が、マスコミの人間(中略)
いまの新聞記者は80%でき上がっている記事素材を記者クラブで受け取り、
見出しの大きさだけ変えて記事にする(中略)
日本の大新聞社では出世すると政府側から声がかかり、各種の審議会の委員などに
取り込まれていく(中略)こうなると結局、政府に対しても厳しいことは言えないし、
まして取材源として良く知っている役所の不正、問題などは全く指摘できなくなる(中略)
日経新聞を読んでいたら、バブルが崩壊したことも解らなかったという笑い話がある(中略)
日経平均が1万8000円を割り込んだ時、私は「8000円になる可能性がある」と書いた。
しかし、日経新聞はというと「2万3000円になる!」と書いていた(中略)
しかし、2003年4月28日、日経平均は歴史的な底値7603円を記録した(中略)
だから「日経を読むと日本の経済がわからなくなる」



地域再生プランナー、「若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

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久繁 哲之介

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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

「クチコミ&リピート」を起こして地域再生、商店街活性化~愛媛県大洲

 衰退した地方都市の多くが、魅力ある多くの地域資源を有している
にも関わらず、地域資源が活かされずに「埋もれている」残念な事実を
拙著『地域再生の罠』『日本版スローシティ』で詳解しました。

「まちづくり・地域活性化の鍵は、地域資源の活用にあり!」という
キャッチフレーズ(結論)は、私を始め多くの識者が強調しています。

 しかし、私と他識者は「結論は同じ」だが、過程(方法論)が違います。 すなわち、
多くの識者が推奨する方法論は「成功事例の表面的な模倣」であり、この
誤った方法論を盲信する地域・商店街が「衰退=失敗」しているのです。

 そこで本日は、愛媛県大洲市を事例に私が提案する
「地域資源活用の方法論」の一部を(以下2点)詳解します。

1.地域資源を「物語や文化」と関係づける事
2.その物語に顧客が参加・体験できる仕組みを創る事



 大洲市の「大洲まぼろし商店街(写真1,2)」は、
昭和レトロをコンセプトに商店街活性化を目指しています。
「昭和レトロ」コンセプトを模倣する商店街は実に多く、大分県
豊後高田商店街もその一つです。

 大洲と豊後高田を比較すると、雰囲気も交通アクセスも大洲の方が良いのに、
知名度と観光者数は豊後高田に軍配があがります。
 なぜでしょうか?
豊後高田が「もんぺ姿の案内人」をつける点に私は注目したい(写真5)。

この効果は「地元市民の営みを感じる・体感する」
「市民に活躍の場がある」「市民と観光客の交流」など多岐におよびます。

 写真で解るように、大洲には「人の営み・おもてなしの心」が感じられない。
お遍路さんを「もてなす」四国の文化を活かせないのは実に残念!

 大洲まぼろし商店街に入ると「よくこれだけ多くの昭和グッズを
収集・保存してるな」と感心します(写真2)。

 しかし、各グッズに”どういう物語(思い出)があるか
想起させる「きっかけ・仕組み」が何も無い”
のです。

 つまり、なんとなく物を収集して、ただ陳列してるだけ!
こういう商店に客が来ないのと同様に、私を含む大洲への観光客は
「大洲のことを誰かに話したい」とも「また大洲に行きたい」とも感じられない。
すなわち、クチコミも、リピートも起こらない


 大洲の「おはなはん通り(写真3)」は、1966年度NHKテレビ小説
「おはなはん」の舞台となり、その後しばらく大洲は人気観光地でした。
 人気テレビ番組ロケ地は、必ず人気観光地になるが、その後
新たな魅力・付加価値を追加する努力を怠って、
クチコミとリピートを起こせない地域は必ず衰退します。
 大洲はその象徴です。

「人の営み・おもてなしの心」が感じられない大洲で、私は
「肘川の河畔(写真4)」で、セルフ・ヒーリングを堪能しました。

 この美しい「肘川の河畔」も、まぼろし商店街から徒歩数分の好立地ながら
活用されずに「埋もれている」のは実に残念です。

 肱川の河畔も、坂本龍馬が脱藩時に舟で肱川を下った
物語を想起させる仕組みを創れば、観光客に「クチコミ、リピートが起きて」

大洲は地域全体を活性化できるはずです。


写真1 大洲市「大洲まぼろし商店街」外観
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写真2 大洲市「大洲まぼろし商店街」内部
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写真3 大洲市「おはなはん通り」
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写真4 大洲市「肘川の河畔」
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写真5 豊後高田商店街
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ジャンル : ビジネス

「若者バカ者まちづくりネットワーク」URL取得

 facebookは参加者が25人を超えるとURLを取得できるので
「若者バカ者まちづくりネットワーク」は、以下 URL を取得しました。

http://www.facebook.com/wakamono.net

「若者バカ者まちづくりネットワーク」は、年齢の若い人・気持ちの若い人が
バカになって地域活性化・まちづくりそして人生を楽しむコミュニティです。
 皆さん、是非ご参加ください! 

関連記事 「若者バカ者まちづくりネットワーク」に参加しませんか
       異彩を放つ「若者バカ者まちづくりネットワーク」メンバーとの交流で地域再生!


地域再生プランナー、「若者バカ者まちづくりネットワーク」主宰 久繁哲之介

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久繁 哲之介

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テーマ : 癒し・ヒーリング
ジャンル : 心と身体

ヒーリング・スポットに恵まれた愛媛県宇和島市へ行こう!

 皆さんは、セルフ・ヒーリング、どうしていますか?

 私が一番好きな「セルフ・ヒーリング」は、手つかずの自然が残る
誰もいない渓谷に身をおき、ボーっと過ごすことです。

 今週、愛媛県宇和島市で講演する前、滑床渓谷に行きました(写真1,2)。

 水の流れと、鳥のさえずりだけが耳に入る空間で
自然をボーっと眺めていると、日常のストレス・嫌なことが
いつのまにか消えています。


写真1 滑床渓谷
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写真2 滑床渓谷
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写真3 遊子水荷浦の段畑 
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おまけ 足摺岬「天狗の鼻」から灯台を望む光景は「21世紀に残したい日本の風景:四国1位」
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 講演翌日、遊子水荷浦の段畑に寄りました(写真3)。
宇和島市は、ヒーリング・スポットの宝庫です。
 皆さん、宇和島へ是非おでかけ下さい。


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プロフィール

地域再生プランナー

Author:地域再生プランナー
久繁哲之介の見識が当ブログ、
以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

講演・執筆ご依頼は以下クリックして下さい。 電話は禁止!

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