物を売りたいなら、それが必要とされる「文化、物語」の創出が先!

 本年のラスト・エントリーです。
『地域再生の罠』刊行以降、多くの方々から御支援や共感の声を頂きました。

 講演先では特に、次の方々から強い支援と共感の声を寄せて頂きました。
① 女性と若者。若者らしい柔軟な発想と向上心のある中高年男性
② ①を主要顧客と位置付ける百貨店やファッションビルの経営者

 ②の方々が特に共感を示してくれるのは私の次提言です。

百貨店など物販主体の大型商業施設は最早、地方都市街中では経営が成立しない。
今ある大型物販店の存続を本気で望むなら、地方都市は以下戦略を具体化してください。

物を売りたいなら(物を売る施設が必要なら)、それが必要とされる
 文化、物語、ライフスタイル」の創出が先!


 前回、百貨店の閉鎖は2年で20店舗という話をしたが、なぜ百貨店やファッションビル等
「大型物販店」は地方街中から次々と撤退し続けているのか。

 物、特に主力商品である「洒落た服」が売れないからですが、
これは「表面的な現象」にすぎません。

 真の理由は、大型物販店の過当競争もあるのですが、
「洒落た服」を着て大切な人と街中で過ごす「文化、ライフスタイル」が乏しいから
 
 この文化・ライフスタイルに欠ける地方都市ほど、大型物販店は主力商品が売れず、
街中から撤退したか、残る店舗も殆どは撤退を真剣に検討しています。
 だからこそ、撤退を検討している大型物販店の経営者さんが、講演で私の提言を聞くと
「まさに、その通り!」と共感してくれるわけです。

 では、洒落た服を着て大切な人と街中で過ごす「文化、ライフスタイル」が乏しい
地方都市・人の実態に迫りましょう。ズバリ、冒頭①と正反対の人が主流派の都市です。

 すなわち、「女性・若者の発想を理解できない、向上心の無い中高年男性」ほど
休日は「ごろ寝かゴルフ」というライフスタイルで「洒落た服」には無頓着・無縁です。
 
 だから彼らは、仕事着(スーツ)には気と金をかけるが、休日の衣服はジャージと
ゴルフウエアがあれば十分で、しかも「郊外の安売り店」で買うのです。
 つまり、彼らの乏しい「文化、ライフスタイル」は、大型物販店を撤退させ
ひいては街中の賑わいも失われていく大きな遠因なのです。

 こうして大型物販店が撤退した地方都市では、中心市街地活性化協議会などの
対策組織を発足するのですが、そのメンバーが「洒落た服」には無頓着・無縁な
中高年男性(特に学者、公務員)で独占される実態は、実にシニカルで深刻な問題です。

 更に深刻なことに、彼らは「大型物販店が撤退したから、地域の賑わいが失われた。
跡地には同じ大型物販店を誘致すべき」と、自分には全く責任がおよばない
”前例や現状を踏襲”する発想に固執します。
 例えば仮の話、西武百貨店が撤退した対策として三越等に
「中心市街地の顔として出店してほしい」等と打診するのです。

 さて、出店を打診された三越等の幹部は、どう思うでしょうか?
私は、某地方都市から撤退を検討する経営者から次の御話を聞きました。

 別百貨店が利益を出せない「文化、ライフスタイル」のままでは、どの同業店も
出店はしない。しかも、百貨店で全く消費をしない「洒落た服に無縁な中高年男性」が
「出店してくれ」と言う無神経さには、つきあいきれない。
 

 さように、撤退した百貨店の後継対策が「誘致不可能な同業店の誘致」に
固執すると後継は決まらず、街中一等地に何年も廃墟ビルのまま放置する
「シャッター百貨店」現象に繋がります。

このような「シャッター百貨店」と、そこに生じる落書き・破損行為とを
放置する地方都市は少なくありません。その実例と対応策は前回エントリー
 シャッター百貨店の対策は急務~百貨店の閉鎖は2年で20店 を参照して下さい。


”女性・若者の発想を理解できない、向上心の無い中高年男性”は
「大型物販店が撤退したから、地域の賑わいが失われた」と他責的に言いますが、
「大型店の主力商品が必要とされる文化・物語が乏しいから、大型店は撤退した」との
正しい因果関係に読みかえる柔軟な若者らしい発想への転換が来年以降の課題ですね!

 
それでは読者の皆さん、よい年をお迎えください。



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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シャッター百貨店の対策は急務~百貨店の閉鎖は2年で20店

 3日前、有楽町西武が閉鎖しましたね。
これで、2010年の百貨店閉鎖数は11店舗です。
 昨年は9店舗閉鎖なので、百貨店は2年間で20店舗が閉鎖しています。

 閉鎖後の跡地利用は、大都市の場合は比較的はやく決まりますが、地方中小都市では
閉鎖された百貨店がシャッターを下ろして何年も廃墟ビルのまま放置される
「シャッター百貨店」が増えていて、それが深刻な問題
となっています。

 だから私は『地域再生の罠』で、第1章「大型商業施設への依存が地方を衰退させる」33頁にて
”中小規模の地方都市街中から、百貨店など物販主体の大型商業施設はほとんど
なくなると私は予測する”と警鐘を鳴らし、第7章以降で解決策を提示しているのです。

 本日は、「シャッター百貨店」問題が全国で一番深刻な都市にも関わらず、
専門家の悪質なプロパガンダにより「まちづくりの先進地」等と喧伝(誤解)されている
富山市
の最新情報を紹介して、私が示す解決策の必要性を再確認していきましょう。


 本年11月24日(水)、講演で富山を訪問した折、12時~13時の
ランチタイムで街が賑わうはずの時間帯に撮影した写真を御覧ください。

 写真1は、2006年3月に閉鎖した百貨店「富山西武」の現状です。
なんと閉鎖から4年8カ月経過した今も廃墟ビルとして放置されています。
 4年8カ月も下ろされたままのシャッターには、幾つもの「落書き」があり
不動産所有者も地元行政も、落書きも放置したままなのです。

 落書きは「若者など市民による社会への反発・抗議」との指摘がある。
ニューヨークの荒廃と再生は、落書きと強い相関関係が見られた。すなわち、
まちの落書きを放置した70年代以降、市民の心は更に荒んで、犯罪が増え続けた。一方
落書きを消すことをニューヨーク再生の柱と考えたジュリアーニ市長就任の94年以降、
ニューヨークの犯罪は激減した。
例えば、年間殺人事件数は90年の2245件から98年には633件に減少した。

 富山での講演で私は、以上の話を紹介して
「富山の再生に最も必要な都市政策は、コンパクトシティの表面的な模倣ではなく、
落書き等に見られる市民の本質的な感情やライフスタイルを重視する姿勢・施策です。
その第一歩として先ず、落書きを消そう。落書き一掃活動を含め、
土地所有者の私益追求が許されない”公益と交流を育む街づくり”をしよう!」

 と呼びかけて、その戦略(本稿一番下)を提示しました。

 富山の落書きも市民の「土地所有者と行政への反発・抗議」だと思うのです。すなわち、
土地所有者が5年近くも街中一等地を廃墟ビルのまま放置する私益への反発と、
富山市が5年以上前からコンパクトシティを標榜しているにも関わらず、この状況を
見て見ぬふりの偽善的で表面的な都市政策への抗議です。

 写真1 「富山西武」は閉鎖後5年近くも廃墟ビルのまま
toyamaseibu.jpg

 写真2は、富山西武から約50m南下した交差点で、左側の廃墟ビルは
2007年9月に移転のため閉鎖した地場の百貨店「富山大和」です。
こちらも閉鎖から3年2ヵ月経過した今も廃墟ビルとして放置されています。


写真2 「富山大和」も閉鎖後3年以上廃墟ビルのまま
toyamadaiwa.jpg

 写真1と2の界隈は、富山県随一の繁華街「総曲輪(そうがわ)」地区で
かつて富山で最も賑わう地域だったが、今は、まるで
「金をかけずに造られた映画ロケのセット」のように、人の営み・気配が感じられない。

 写真3は、総曲輪地区の商店街です。
そうがわ1


 まちづくりの専門出版社・専門家が、これほど衰退している富山市の街中を
「コンパクトシティで再生された」等と悪質なプロパガンダを垂れ流すデタラメは勿論
大問題ですが、デタラメな情報は街づくりの担い手(市民)が無視すれば済む話。
重要なのは「これほど衰退した富山の街中を再生するには、どうすべきか」です。
 以上の詳細は『地域再生の罠』を御覧頂くとして、論点を簡単に整理しましょう。

 最大の論点は「街中の一等地=公益空間の不動産」を、節税など私益の為に放置させず、
「公益目的=人が繋がる場」に転用して、市民を集め、関連消費を誘発する戦略をもつことです。
 その具体的な戦術(施策)の一例を以下に箇条書きします。

1)街中の一等地=公益空間の不動産税率の基準は「公益性」で決める。
2)シャッター商店(特にシャッター百貨店)には、最高税率を適用する。
3)落書きの放置にペナルティを課すと同時に、誰でも消せる施策(条例など)を導入する。
4)「戦略的赤字施設」には、最低税率を適用し、更に地域独自の支援策を付与する。

注)戦略的赤字施設については、以下を参照してください。
 交流と賑わいを育む”戦略的赤字施設”鹿児島市「マルヤガーデンズ」




     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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商店街活性化講座5「入口フリー戦略で集客を高め、関連消費を誘発し、街全体で利益をあげる」

 連載企画「商店街活性化講座」最終回です。

先日、ある商店街の勉強会で講演した時、次の質問(反論?)を頂きました。

『地域再生の罠』提言2「街中(商店街)に交流を促すスポーツクラブを創る」について
①スポーツクラブを造って、街中(商店街)が活性化するとは「信じられない
②スポーツクラブを造る場合、小規模施設にしても「資金がない



 このように、誰かが何か提案すると、その表面だけを見て
「~できない、xxがない」等と、”ない”ものや粗を探し出すことだけは
やたら得意な方が何処の世界にもいます。

 まちづくりでも、企業・役所でも、衰退する地域・企業・役所ほど、
他人の提案を潰すことだけは得意な方の「頭数が多い」あるいは
「肩書が高い=発言力が強い」傾向が見られます。


 「街中(商店街)に交流を促すスポーツクラブを創る」提言の本質は
「入口フリー」戦略が、①集客を高め、②関連消費を誘発し、③地域全体の利益を上げる
ことにあります。

 つまり、この戦略を推進できる施設を導入することが肝であり、
『地域再生の罠』では紙面の関係から、スポーツクラブを一事例として挙げているにすぎず、
このような「本質を考慮しないスポーツクラブなど箱物を建設しても失敗します」
『地域再生の罠』では一貫して主張しています。
 事実、提言2を主張する第8章235頁で、次のように記述しています。

”衰退する地域や商店街は、この「入口を割安、フリー」にして全体の利益を得るという
発想が決定的に欠けている。(中略)この「入口を割安、フリー」にして、集客を高め、
関連消費を誘発する仕組みこそが、本章で提言したいことの本質である。”



 今日は、導入が比較的容易な「入口フリー戦略」の事例を紹介します。
12月13日、講演後に鹿児島市の「アミュプラザ」を視察させて頂きました(写真1)。
 
 アミュプラザの地下1階は「食品フロア(所謂、デパ地下)」です。そこに
「カルディコーヒーファーム」という世界の珍しい食品を集めたお店があります(写真2)

 写真2で解るように、カルディコーヒーファームは店の入口で、自店商品である上質の
コーヒー豆で煎れたコーヒーを「フリー(無料)」で顧客に手渡します。
 この光景を見たアミュプラザ顧客は、”フリーなら私も欲しい”と来店意欲を抱き、更に
この体験がクチコミ等で広がり、当店ひいてはアミュプラザの来訪客増加に寄与するでしょう。


 さて、皆さんは美味しいコーヒーを手にした時、どう過ごしたいですか?
①立ったまま飲むのではなく、座って寛ぎたいですね。買物で歩き疲れた時は尚更!
②ついでに何か食べたくなりますね。

 上質なコーヒーを「フリー(無料)」で、歩きながら手渡された顧客がいる場所は
美味しい食材を集めた「食品フロア」です。更に、カルディコーヒーファームの
目の前には「フードコート」があります。
 そして驚くことに、この地下1階の食品フロアのスペース約3割に
ユニクロと無印良品という若者に人気の物販店を戦略的に導入しています。

 もし、アミュプラザ経営陣に「”ない”もの・粗を探し出すことだけは得意な方」が
支配的だったら、この戦略(提案)は恐らく潰されて実現していないでしょうね。

 アミュプラザの「フリー戦略」は、フリーが大好きな若者の心をとらえ
休日や平日放課後時間帯には、若者が集い賑わう光景が見られます。


写真1 アミュプラザ全景
アミュ外

写真2 フリー戦略の拠点「カルディコーヒーファーム」
アミュ中



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久繁哲之介への講演ご依頼に関する「お願い」

 講演ご依頼は以下要領で「お願い」します。

1. 講演ご依頼は、下段の「コメント」をクリックして、必要事項を記入して送信下さい。
  ご記入頂いたメールアドレスへ、折り返しメールにて御連絡いたします
  (メールアドレスが間違っていて、せっかくの御依頼に、連絡できない事がありました)

2. 本文欄には「講演依頼の基本事項」を必ず書いて下さい。 特に、
  企画概要と、あなたの熱意・誠意を先ず伝えて下さい。  

  稀に、いきなり「講演依頼するとしたら、いくらですか」等と、仮の話で企画概要も示さず、
 ぶしつけに金額だけを聞く非常識な方が稀にいますが、対応に窮します。
  特に、私の日程を仮押さえしておきながら、キャンセルする方は、非常に困ります。
   

3. 講演の事前打ち合わせは「メールと、講演当日視察時間」でお願いします。 

  講演依頼前に「無料で一度会って”面接(面談)”したい」と言う方が稀にいます。
 私は誰に対しても次のようにお答えしています。 ”双方とも多忙だから、事前打ち合わせは
「メール」でお願いします。どうしても面談が必要なら、講演当日に視察をするので、その時に」と。

  以前、某商店街から「役員が、どうしても会って講演の事前打ち合わせしたい」と
 執拗に要求されました。 時間を創って応対して、ビックリ。  来訪者は、なんと十人。 

  彼らは私に「商店街は、どうすれば再生するか」など事前打ち合わせとは全く関係ない
 講演会で話すべき本題を1時間以上も質問して、喜んで御帰りになられました。
  
  結局、この商店街での講演依頼話は消えて無くなりました。 なぜなら、
 事前打ち合わせと称した「講演会=勉強会」を、タダで実施できたからです。 


追記)福井の某商店街から講演依頼を4月14日に頂きました。5月で空いてる日程を教えろ!
  と、さぞ緊急の御依頼だと私は気を利かせて2つ候補を提示して、その2日間を空けて
  東京で返事を待ちました。10日後に、やっと次趣旨の連絡が来ました。

  「講演事前の面談を無料でお願いしたい。場所は福井の近くを希望」


 こういう経験が続き、日本(特に、商店街とマスコミ)には
「補助金や、情報はタダで入手できて当然」と錯覚している方が多くて、驚きます


 私は何も「全てのケースで、情報提供には対価が必要」とは考えていません。
「人間関係が出来ている=面識のある」人とは、お互いに無償で情報交換してます


 しかし、面識の無い人から、言葉使いだけは丁寧だけど「タダで情報を教えろ」って
ずうずうしい非常識な要求は、「しかと」させて頂きます。


地域再生プランナー 久繁哲之介
日本版スローシティ―地域固有の文化・風土を活かすまちづくり日本版スローシティ―地域固有の文化・風土を活かすまちづくり
(2008/04)
久繁 哲之介

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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

交流と賑わいを育む”戦略的赤字施設”鹿児島市「マルヤガーデンズ」

 『地域再生の罠』の第8章(提言2)で私は、
「地域全体の利益へ”戦略的赤字施設”を創る」ことを提案しています。

 戦略的赤字施設をイメージ・具体化するのに最も適切な事例がスポーツクラブなので、
8章タイトルは「街中の低未利用地に交流を促すスポーツクラブを創る」としました。

 鹿児島市の天文館に今年4月にオープンした「マルヤガーデンズ」は、まさに私がイメージする
”戦略的赤字施設(注)”としてのコンセプトと特徴をもっています。

(注)本稿の意図は「マルヤガーデンズ」の赤字を予測するものではなく、多くの方に
「戦略赤字施設=マルヤガーデンズ」に共感して頂き、応援・支援を呼びかけることにあります。


 「マルヤガーデンズ」に私が注目する理由を先ず説明しましょう。
2009年5月、人口60万人強の鹿児島市で最も賑わう天文館から三越が撤退し、
鹿児島市内に残る百貨店は地場の山形屋だけとなりました。

『地域再生の罠』第1章では、百貨店など大型商業施設が撤退した地方都市は、
跡地利用が何年も決まらず、酷く衰退していく構図を示し、私は次の提言を示しました。
「地方都市に、百貨店という業態は成立しえない。百貨店に依存しない地域再生を!」 

 そんな状況下「マルヤガーデンズ」は三越撤退後、わずか11か月後という早さで、かつ
百貨店業態とは全く異なるコンセプトと特徴を掲げて開業したこと、更に
この素晴らしい決断者が、玉川恵さんという女性であることに私は注目したのです。

 12月13日、講演で鹿児島市に訪れました。講演を主催した鹿児島経済同友会様ならびに
玉川恵様のご配慮により、マルヤガーデンズ(写真①)を視察させて頂きました。

 マルヤガーデンズのコンセプトを一言で要約すると
「人と人が、もっと自由につながりあえる場所」です。

 館内を歩いてみると、イベントスペース(写真②)や休憩スペース(写真③)など
「利益が出ないと一目で解る”公益空間=人が繋がる場所”」を創る仕組みが随所にあります。
 詳細はマルヤガーデンズの以下WEBを参照して頂くとして
http://www.maruya-gardens.com/
  
 私が一番、心を打たれた仕組みを紹介しよう。
館内で地元産野菜を直売するイベントを開くのだが、売り手が
「社会参加が困難な若者(俗に、ひきこもり等と言う)」である点が興味深い。

 社会参加が困難な若者が、社会復帰する為の活動として
農家で実習する話はよく耳にする。 直ぐに結果を求めない農村の
おばあちゃん達と一緒に農作業をする過程で、若者達は少しずつ農村という
スローな場所や人(スローシティ)には心を開き、適応し始める。
 
 だが、農村(スローシティ)で社会参加に自信をもちかけた若者も、
直ぐに結果を求める都市部(ファストシティ)での社会参加には、なかなか適応できない。

 マルヤガーデンズでの野菜直売イベントは、都市部にスローシティを創る仕組みがある。

1)若者は野菜という「物」だけを売るのではなく、自身の心を開いてくれた
 「地域や人(スローシティ)」を愛しているから、その地域や人の名前を自然に大声で連呼して
 大勢の顧客と向き合う。
 
2)顧客側は単に新鮮な野菜を買うだけではなく、社会参加が困難な若者が
 スローシティで経験したであろう物語に惹かれて野菜を買い、
 若者に物語への感謝や激励の声をかける。
 
3)マルヤガーデンズには、社会参加が困難な若者の姿に感動したという顧客の声が届く。
 そんな声・クチコミが、マルヤガーデンズのファン数と売上高に寄与する。

4)天文館(鹿児島で最も賑わう地域)は、マルヤガーデンズの集客効果で更に賑わう。

 この仕組みは、マルヤガーデンズを核に4者を繋ぐもので、4者とも
すなわち地域全体が豊かになれるように見えるが、深刻な課題がある。それは
 天文館という地価の高い場所で、非営利団体に格安の賃貸料でイベントスペースを貸す
マルヤガーデンズは、3)の効果では利益を確保できず、赤字が見込まれる
ことだ。
 
 マルヤガーデンズのように、赤字覚悟で
地域全体の豊かさ(利益)を創出する施設を”戦略的赤字施設”
と私は位置付けて、
戦略的赤字施設を支援する提言を『地域再生の罠』第9章で示しています。


写真①マルヤガーデンズ外観(緑化された外壁に注目)
マルヤガーデン外

写真②マルヤガーデンズ館内 イベント・スペース(屋上も緑化)
maruya1.jpg

写真③マルヤガーデンズ館内 休憩スペース
maruya2.jpg



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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地域再生プランナー

Author:地域再生プランナー
久繁哲之介の見識が当ブログ、
以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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