増刷御礼。『地域再生の罠』を応援してくれた読者・ブロガーへ感謝!

 7月7日に刊行した『地域再生の罠』は、おかげさまをもちまして

7月22日に増刷が決まりました。

 読者の方々、『地域再生の罠』を読んでくれて、ありがとう。
そして、ブログやツィッターで『地域再生の罠』を応援(書評)してくれて、ありがとう。
 その一部を紹介させて頂きます。

  アルファ・ブロガー 小飼弾さんの 404 Blog Not Found』

  アルファ・ブロガー finalventさんの 『極東ブログ』

  佐賀県武雄市長の樋渡啓祐さんの 『武雄市長物語』
 
追記) 樋渡啓祐様、お名前に誤植があり、申し訳ございません。
   増刷版(2刷以降)で修正します。本当に失礼致しました。



     若者バカ者まちづくりネットワーク 主宰  地域再生プランナー 久繁哲之介

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路面電車=LRTを活用した「まちづくり」~産経新聞に『地域再生の罠』掲載

 産経新聞文化部は「新交通システム」に関する連載を始め、産経新聞20面に
久繁哲之介の主張「路面電車(LRT)を活用した地域再生論」が掲載されています。

 産経新聞が「路面電車(LRT)を有効活用して市民が豊かになるには?」という企画で、
私を取材相手に選んだ理由を聞いてみると、記事の狙いを含めて次のように話してくれた。

1)成功を求めるなら、失敗事例にこそ学ぶべき。岐阜の路面電車廃線から
 何を学ぶべきかを聞きたい。
2)路面電車(LRT)の成功と言われる富山市はJR路線を引き継いだもので、LRT利用者の
 見込は事前に明らかだった。一方、松江市が2年後にLRTを新規導入するが、現在の
 車利用者が LRTを利用するかなど松江市LRTの展望を聞きたい。
3)『地域再生の罠』には以上の要素と都市が網羅されている。
 以上1~3を踏まえて、路面電車(LRT)を有効活用して市民が豊かになるには、
 どうすべきか意見を聞きたい。


論点1:路面電車の失敗(撤退)事例から学ぶか?
 
 岐阜市が2005年3月に路面電車を廃線とした主な理由を整理しましょう。
①市民(の一部)と市役所が、現在より効率的な「車優先社会」を望んだ。
②市役所の縦割主義により各施策が連動していない。

 あなたは街中へ通勤あるいは遊びに行く時、公共交通とマイカー、どちらを利用したい?

 この問いに、首都圏や関西圏の方は殆どが「当然、公共交通に決まってるだろ」と
お答えになるだろう。だが、人口40万人強の岐阜市を含む地方都市では同じ問いに
「できれば、マイカーを利用したい」と答える。

 この「できれば」の条件は何だろうか。おそらく次の2点だと思う。
①職場や繁華街の近くに格安な駐車場がある。
②道路が渋滞しないで、職場や繁華街へ(公共交通より)早くアクセスできる。

 首都圏や関西圏では、いずれの条件も満たすことができない。
だから、殆どの方が「公共交通を使うのが当然」とお答えになる。

 一方、地方都市だと、いずれの条件も「現在は満たされて」いて、
近年になるほど、その条件が改善?されている。

 なぜ地方都市では、2つの条件とも近年ほど「改善」されたのか。

①地価が下げ止まらず、街中に低未利用地が増え続けている。低未利用地の利用は
 地価が上昇して土地利用者が出現するのを待つ「暫定の駐車場」が過半を占める。
 その結果、繁華街・職場の近くに格安の駐車場を確保できるようになった。
  岐阜市の場合、繁華街の月極駐車場料金は、1990年頃だと月3万円位だったが
 路面電車が撤退する2005年頃には、月6千円位にまで下がった。この値下げを機に
 通勤手段を「公共交通(路面電車)からマイカーに変えた」人が増えたという。

②過剰な道路整備事業が今なお続き、マイカーの利用価値は向上している。
 マイカー利用者の「効率(速さ)重視」思考は、どんどんエスカレートして
 岐阜市では「路面電車を撤去して、道路専用車線を増やそう」と。


論点2:地方都市のLRT導入に考慮すべきこと

 地方都市のLRT導入に考慮すべきは、この2つの条件を
マイカー利用には「改悪」、公共交通(LRT)利用には「改善」する方向に
誘導することが必要です。では、具体的にどうすればよいかを提言します。

①街中の低未利用地を「暫定駐車場」にさせない仕組みを創る。

 街中に土地を持つ個々の地権者による「暫定の駐車場」化を放置すると、駐車場だらけの
地方都市街中は魅力を更に失います。この弊害は更に、格安駐車場の大量供給に繋がり、
マイカー利用者を増やします。
 ここで、2012年にLRTを新規導入する松江市の展望をお答えしましょう。
松江市の街中も「駐車場だらけ」です。これを放置したままのLRT新規導入では
現在のマイカー利用者は公共交通(LRT)に移行しないはずです。
 
 街中の低未利用地を「暫定駐車場」にさせない仕組みを創るには、どうすればよいか。
『地域再生の罠』提言②では、市民の交流を促すスポーツクラブを創り、関連消費を
誘発する仕組みを示しています。私は、自分の提言こそベストとは言いません。
皆でアイデアを出し、それをコラボして「地域独自の仕組み」を創ってほしいです。


②「道路はもう造らない」、街中に「車を進入させない」仕組みを創る。

 『地域再生の罠』読者から「久繁さんはコンパクトシティ反対論者ですか?」
という声を頂きました。答えは「No」です。コンパクトシティは是非、推進したいと願う
賛成論者です。ただ「現在のやり方・考え方」は賛成できません。その理由と弊害を
『地域再生の罠』では「西欧の安易な模倣、縦割主義」等のキーワードで説明しました。

 では、どうすべきか。ポイントだけ示します。

 まず、コンパクトシティ地域(例えば、街中の半径数百m)は車進入禁止にします。
そして、その地域は①で示したような「市民の交流空間」を創ります。
 路面電車(LRT)も低未利用地も、市民が交流して豊かになる手段と位置づけて
活用してほしいです。

③「効率(ファスト)重視」な街造りを改め「スローシティ」へ

 市役所や市民の思考が「効率(ファスト)重視」のままでは、
市民のLRT利用も進まないし、まちに「交流空間を創る仕組み」も支持されない。
 
 実家のある広島市は、路面電車が複数系統ある「路面電車のまち」でもあります。
広島駅から繁華街の紙屋町までの所要時間は、車だと渋滞しなければ5分ですが
路面電車だと約3倍の15分もかかります。

 なぜなら、路面電車は大都市の地下鉄などと違い電停(鉄道の駅に相当)が短い。
街中だと100m先に次の電停が見える。
路面電車は電停に停まっては、乗客が一人ずつ小銭箱に乗車料金を入れて降りる。

 つまり、路面電車は停留回数は多く、停留時間も長い。これに拒否反応を示す人は
駐車場料金が高くてもマイカー通勤を続けています。
 
 また、時間に余裕のある高齢者や中高年者でさえ、訪問先が電停から100m以上の場合は
タクシーを利用する方が圧倒的に多い。
 
 そう、地方都市の中高年齢者は僅か100mでも歩くことを避けたがる。
若者でさえ100m先の銀行まで歩けば、手数料無しでお金をおろせるのに
歩くのが嫌で、手数料を払ってでも目の前のコンビニを利用する者が少なくない。
こういう光景を見慣れてしまうと「歩いて暮らせる街づくり」の実現は難しいと感じる。

 このように、政令指定都市の広島市であっても、路面電車(LRT)拒否派が多いのです。
ここで、新聞記者から最後の問いかけに答えましょう。日本で
路面電車(LRT)を有効活用して市民が豊かになるには、どうすべきか?

現在の「効率(ファスト)重視」なライフスタイルや街造りを改め
「スローシティ」へ舵をきることを望んでいます。



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脱「上から目線な」まちづくり~「市民が豊かになれる」地域再生

 当ブログへ昨日、星宏一さんから次コメントを頂きました。


    題: 何度も頷いちゃいました
  「地域再生の罠」実質一日で読了しました。少し寝不足です。
  8年ほど前から、ボランティアで完全な「民間」の立場から
  「まちづくり」に関わってきましたが、
  この本は、大きな疑問を抱くことなく最後まで読み通せた初めての
  「まちづくり本」でした。と言うよりも、直感的に「正しい」と思うことが
  次々に出てくるので、そのたびに何度も頷いてしまいました。
  初めから利益が上がる「地域おこし」なんてものがあれば、大手資本が嗅ぎ付けて、
  とっくの昔に始めてるはずなのに、ともかく目先の「私益」にばかり囚われている
  関係者が多すぎると、以前から思っていたのですが、これでだいぶスッキリしました。
  「低未利用地」「B級グルメ化からスローフード化へ」のくだりは、正に我々が現在
  取組もうとしている事案に、とても参考になります。 仲間と話して、
  ご講演をお願いすることになるかも知れませんが、その折にはよろしくお願い致します。


 星さんのコメントは、個人的には非常に嬉しい。
そして、星さんのコメントは正鵠を得ていて、
まちづくりに根深い問題が横たわっていることを示唆しています。

 注目すべきは、8年もの間まちづくりに奔走した方が『地域再生の罠』は
「大きな疑問を抱くことなく最後まで読み通せた初めての”まちづくり本”」
という指摘です。

 この指摘は過去にも、まちづくりの現場で多くの方から頂いてきました。
その理由を当ブログ7月4日エントリー
「第2回 横石知二さん『そうだ、葉っぱを売ろう!』」で説明しました。
http://hisa21k.blog2.fc2.com/blog-entry-5.html

 土建工学者が書いた従来の「まち造り」本は、なぜ読者(市民)に
大きな疑問を抱かせ、読者は「最後まで読み通せない」のか?

 最大の理由は、読者(市民)に「読んで頂く(利用して頂く)」という
心・配慮に著しく欠けているからです。すなわち、
「オレのアカデミックな論文を読め」と言わんばかりの提供者思考な本は
消費者が「最後まで読み通せない」のは至極、当然です。

そして、「郊外に住まず街中に住め、ここで飯を食って、あそこで買物しろ)」的な
提供者志向な「まち造り」に、消費者は大きな疑問を抱きます。


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公務員と議員が読むべき本:7 勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』書評

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
(2007/12/14)
勝間 和代

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 今回から最終回まで5回連続で、地域再生とは「異分野」の本と
その著者に学びます。

 地域再生・地域づくりを「異分野」に学ぶ理由と重要性を考えてみましょう。
それは、地域再生・地域づくりの「専門家の問題点」から導くことができます。
専門家の問題点を端的に示すキーワードは、次の通りです。

 脱「排他的な タコ壺研究」→ 地域づくりに「コラボレーション」を! 

これは『地域再生の罠』173頁の次部分に集約されています。

 海外で建築家として認められるためには芸術や思想状況も知っていなければならない。
 つまり、文化人でなければならない。
 

 そう、日本の土建工学者(土木、建築、都市工学)は、それぞれの
狭い研究分野(タコ壺)の中でのみ通用する「技術」力を発揮することには
熱心だけれども、文化や人の思想については、知ろうともしていない。

 このような「排他的なタコ壺研究」の本を、もし
まちづくりとは違う分野で刊行すれば、容赦なく「くそ本」と烙印を押されます。

 パレートの法則は、本にも適用されるようです。
本の8割は「くそ本」と指摘される勝間和代さんと小飼弾さんの著作を
今回と次回で紹介します。

講演を開くこと、聞くことが目的化してはいませんか?

 勝間和代さんは近年、著作を量産しています。私はその殆どを読んでいますが
次に注目したい。

 読書や講演を終えて、貴重な助言をすぐに実行できる人は5%未満。
実行を挫折せず、持続できる者はその5人に1人。つまり、全体の1%。
成功の条件は、有益な「知識」を得たら、すぐに「実行」して、持続させて
「定着」させること。こんな解りやすいことを実践するだけで上位1%に食い込める。


『効率が10倍アップする新・知的生産術』272頁には、
この主張が次のように公式化されています。

  成果=知識×実行割合×定着率
 
 勝間さんは、「実行割合」が5%未満と低すぎること、定着率も20%と低いこと
を問題視しています。これと全く同じことが、地域再生の世界でも見られます。

 地域再生に取り組む地域では、よく講演を開きます。
彼らの多くは「講演を聞きっぱなし」にしています。
 なぜでしょうか。

 一番多い理由は「講演会を定例で開く」からだと思います。
例えば、新春恒例の講演会、毎月など定期開催の講演会などです。
私に依頼のあった講演会も約半分は、この種のものです。

 私の印象では、講演を「開くこと、聞くこと」が目的化しているようです。
目的化するほど、他の地域と横並びで講師は選ばれる。
 まちづくりは、事例も講師も他地域と横並びで選ばれるのです。



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地方都市再生=中心市街地活性化へ「百貨店撤退への対応」~新潟市

 新潟のyami_kenさんから以下コメント頂きました。

  ご著書拝見いたしました。勉強させていただきました。
  ありがとうございました。
  私の住む新潟は先日百貨店が撤退しました。
  宇都宮と同じ失敗をするのかな・・・ と心配です。


 金沢に本店のある地場百貨店「大和」は、新潟県内の全3店舗(新潟市、長岡市、上越市)を
閉店しました。
 
 そう、『地域再生の罠』第1章(宇都宮市の話)でお話したように、
いまや百貨店は、構造的な不況業種で、そのうち人口50万人以下の地方都市から
ほとんどの百貨店は撤退するでしょう。

 当ブログでも昨日、久留米市から地場百貨店が撤退した話をしました。
私が地元の中高年女性と交わした会話を再度、紹介しましょう。

「百貨店の利用は月に1~2回だから、中途半端な百貨店より
仲間と物語を消費したり交流できる場が欲しい」

 新潟も、交流を促す施設を創ってほしいです。

 さて、新潟市で一番賑わう商店街の一区画には「ドカベン・ロード」があります。
ドカベン・ロードは、地元出身作家の人気マンガ「ドカベン」に登場する
キャラクター像を設置しています。

 私が新潟市を訪問した折、ドカベン・ロードを歩く人は
まばらでした。私は、若い女性が犬を連れて散歩している光景を
注視しました。なんと
 そのワンちゃん、ドカベン像に、おしっこをかけていたのです。
飼い主は、ワンちゃんが電柱にかけているかのように平然としています。

 ワンちゃんは、ドカベン像と電柱との区別はできない。でも
飼い主の若い女性には、その区別はできるはずですが…

 若い女性は昔のマンガ「ドカベン」を知らないのでしょう。
今時の若者にとっては、ドカベン像は電柱と同じに見える。
 にも関わらず、中高年男性が地域再生を考えると
往年の人気マンガのキャラクターに依存したくなる。
 
 この構図、拙著『日本版スローシティ』で
キャラクター消費と物語消費の違いとして考察しています。

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プロフィール

地域再生プランナー

Author:地域再生プランナー
久繁哲之介の見識が当ブログ、
以下の本でご覧頂けます。

『地域再生の罠』ちくま新書
『日本版スローシティ』学陽書房
『コミュニティが顧客を連れてくる~愛される店・地域のつくり方』
『商店街再生の罠』ちくま新書

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